講演情報

[ES4-2]新時代のデジタル「補綴歯科教育」を考える

*富田 凛太郎1 (1. 神奈川歯科大学 クラウンブリッジ補綴学分野)
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近年のデジタル化は著しく歯科領域においても光学印象やCAD/CAMなどデジタル技術を用いた診療が多く取り入れられている.しかし歯科教育においては浸透が遅れているのが現状である.特に手技技術の向上においては積極的なデジタル化の導入はされていない.現在ではバーチャルリアリティ(VR)を用いた歯科診療シミュレーターが開発され、精度検証や学習効果で評価が得られており、学会や小規模講習などで体験してもらうことで学習ツールとして知名度も上げてきている.歯科教育への導入はあと一歩というところまで来ているが、費用対効果や導入の難しさ、実際との乖離などがネックになっている.
 そこで我々は安価で簡便に導入が可能な歯科診療シミュレーターを開発し、評価を得られた.シミュレーターでは歯科診療の補綴分野の中でも高頻度治療にあたる支台歯形成の手技技術学習が可能である.裸眼で立体視を可能にする空間再現ディスプレイを用いることであたかもそこに存在するように3DCG映像を認識できる.支台歯形成後は自動採点により即時フィードバックが得られる.歯科医師数十名に実施し客観的評価項目とアンケート調査にて評価が得られた.
 現在までにVR歯科診療シミュレーターによる学習効果が得られたという報告が多数あり、補綴技能教育においても技術的恩恵は大きいと分かった.さらなるデジタル技術の進歩や歯科関係者への広報により、デジタル化による歯科教育への貢献が期待できる.