講演情報

[MSY-座長][座長抄録] 咬合挙上を再考する

*馬場 一美1、* 貞光 謙一郎 2 (1. 昭和医科大学、2. 日本顎咬合学会)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

咬合高径、咬合挙上、顎関節症

咬合挙上は、全顎的な治療を要するケースが多く、歯科補綴治療の中でも特に大規模かつ包括的な介入を伴う処置である。そのため、咬合高径の低下の程度、発生要因、およびその結果として生じる機能的・審美的問題を正確に評価し、補綴的介入の適否を慎重に判断することが不可欠である。その上で,咬合挙上を実施する際には、適切な補綴装置の選択および段階的な治療計画の立案が求められる。まず、適切な咬合高径を再構築するための治療目標を明確に設定し、暫間的補綴装置を用いた段階的アプローチを経て、最終補綴装置へと移行する。このプロセスを通じて、患者の適応能力を慎重に評価しながら治療を進めることが可能となる。本シンポジウムでは、当該分野における第一人者である窪木拓男先生(岡山大),山下秀一郎先生(東歯大),渡辺隆史先生(日本顎咬合学会)にご登壇頂き,咬合挙上に関する臨床的判断基準、治療戦略、および長期的予後管理について、以下の3点を中心にご講演頂く予定である。
1.介入の必要性の診断
機能的・審美的障害、および顎関節症の既往歴を考慮した診断基準の確立と臨床応用
2.咬合再構築の方法
補綴介入の種類、適切な咬合挙上量の設定、および咬合関係の決定方法
3.予後管理
咬合挙上後に予測されるリスク評価と、長期的な経過観察・管理の戦略
本シンポジウムが、咬合挙上の臨床実践における科学的根拠に基づいた診療指針を深化させ、参加者の皆様にとって有益な学びの機会となることを確信している。