講演情報

[P-106]義歯装着が高齢者の歩行運動に及ぼす影響 ーFrame-DIAS6の真度と精度ー

*渡邊 諒1、杉浦 有佳子1、榊原 渓1、足立 ことの1、山本 寛明1、岩堀 正俊1、都尾 元宣2 (1. 朝日大学歯学部 口腔機能修復講座 歯科補綴学分野、2. 朝日大学)
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【目的】
 超高齢社会において, 高齢者のQOLと自立歩行の関連については多角的に検討する必要がある. 当講座はこれまで 動作解析システムを用いて 高齢者と成人の歩行運動を解析し比較してきたが, 環境や対象によって計測が困難となる場合も生じた. そこで本研究では改めて, 動作解析システムの長時間・長距離での解析における計測精度を検討した.
【方法】
  方法本研究では2次元/3次元ビデオ動作解析システムFrame-DIAS6(株式会社Q’s Fix, 東京)を用いた. 立位正面観から横をX軸, 奥行きをY軸, 高さをZ軸とし, X0.9m, Y9.0m, Z1.2mの範囲を, Xは0m, 0.9mの2点, Yは0mから0.9mおきに11点, Zは0m, 0.6m, 1.2mの3点をキャリブレーション範囲とした. 計測点として, 椅子の背もたれ部, 座面前方部, 右脚前方部, 左脚前方部の4カ所に, 一部15Φの計測用反射マーカーを貼付した上で前方2方向, 3方向から撮影した. カメラはIOS M3(キヤノン株式会社, 東京) を2台もしくは3台用いた. 椅子の後脚がY0.2mから1.0m毎に8.2mまで静止点として9点計測した. 得られたデータを取り込んだ後, システム内での手動入力(キャリブレーションと計測点プロット)を行った. 各5回の得られた数値を2方向3方向, 各静止点, X軸間, Z軸間にて比較検討を行った. また得られた数値と計測した真値との差を求めた.
【結果と考察】
 精度についてはX, Zで最大3㎝の誤差が生じた. しかしYを固定したポイント間でみると誤差は最大6㎜程度であった. 2台と3台では計測値に優位に違いを認め, やや3台の方が精度が高い傾向を認めた. 真値については, X, Zで最大5㎝, Yは10㎝程度の乖離を認めた. 奥行きがあることで真値との乖離が起こりやすい. 高さ(Z軸)に対しては0に近い高さは精度に不安が残る. また, キャリブレーション範囲の境界部に近い計測点の精度が落ちる傾向を認めた. 本システムはキャリブレーションと座標入力を肉眼で確認し手動で行うことから, 精度に関しての限界と思われ, この誤差範囲が許容されるかが問題である. しかし, スポーツ動作の速度解析や, 実寸値を必要としない同一データ内の比較や動画内での計測基準点があれば充分に応用可能と考えられるため, 引き続き同システムを使用した研究を検討していく.