講演情報
[P-118]健常高齢者における食行動に口腔機能が及ぼす影響
*松本 夕姫1、横井 美有希1,2、白木 優帆1、高橋 優太朗3、丸山 詩央3、森本 雄介3、丸山 真理子3、吉川 峰加3、津賀 一弘3、吉田 光由1,2 (1. 藤田医科大学病院歯科口腔外科、2. 藤田医科大学医学部歯科・口腔外科学講座、3. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学)
【目的】
食事速度や食事に関する意識といった食行動は肥満や生活習慣病との関連が強く, 高齢者においては低栄養状態1やフレイルにもつながるとされている. 栄養状態は口腔機能とも関連していることから, 本研究では, 健常高齢者を対象に食行動と口腔機能との関係を明らかにすることとした.
【方法】
対象者は, 2024年6月に京都先端科学大学にて開催された体力測定会に参加し歯科検診を受けた60歳以上の317名(男性54名:平均年齢78.5±6.7歳, 女性263名:平均年齢76.9±6.2歳)とし, 身長体重測定, 食行動・食習慣についてのアンケート, 口腔機能検査を実施した. 「自身の食事速度について」のアンケート回答結果から対象者をFast群, Normal群, Late群の3群に分けて, BMIや口腔機能, 食習慣について比較した. 本研究は, 京都先端科学大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号24M02).
【結果と考察】
食事速度に関する3群間で, BMIは男性では有意差はなく, 女性では, Late群で有意に高くなっており(p<0.05), これまでの研究と同様の傾向が認められた. 口腔機能は, 男性では舌圧がFast群でLate群に比べ有意に高く(p<0.05), 女性ではLate群で低い傾向があったものの有意差はなく, その他の項目に関しては男女ともに有意差はなかった. 「食事時に意識して噛んでいるか」の問いには, 全体では男性81.5%, 女性71.5%が「はい」と答えていた一方, 3群間で比較した場合, 男女ともFast群では「はい」と回答している者が有意に少なかった(p<0.05).
以上の結果より, 舌圧の高い男性で食事速度が速くなっている傾向はあったものの口腔機能と食事速度との間には大きな関係は認められず, むしろ体力測定に自ら参加するような高齢者では, 「普段からよく噛むことを意識している」といった適切な食行動が身についていることが明らかとなった.
【参考文献】
1) Iwasaki M, Motokawa K, Watanabe Y et al. Association between Oral Frailty and Nutritional Status among Community-Dwelling Older Adults: the Takashimadaira Study. J Nutr Health Aging 2020; 24.
食事速度や食事に関する意識といった食行動は肥満や生活習慣病との関連が強く, 高齢者においては低栄養状態1やフレイルにもつながるとされている. 栄養状態は口腔機能とも関連していることから, 本研究では, 健常高齢者を対象に食行動と口腔機能との関係を明らかにすることとした.
【方法】
対象者は, 2024年6月に京都先端科学大学にて開催された体力測定会に参加し歯科検診を受けた60歳以上の317名(男性54名:平均年齢78.5±6.7歳, 女性263名:平均年齢76.9±6.2歳)とし, 身長体重測定, 食行動・食習慣についてのアンケート, 口腔機能検査を実施した. 「自身の食事速度について」のアンケート回答結果から対象者をFast群, Normal群, Late群の3群に分けて, BMIや口腔機能, 食習慣について比較した. 本研究は, 京都先端科学大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号24M02).
【結果と考察】
食事速度に関する3群間で, BMIは男性では有意差はなく, 女性では, Late群で有意に高くなっており(p<0.05), これまでの研究と同様の傾向が認められた. 口腔機能は, 男性では舌圧がFast群でLate群に比べ有意に高く(p<0.05), 女性ではLate群で低い傾向があったものの有意差はなく, その他の項目に関しては男女ともに有意差はなかった. 「食事時に意識して噛んでいるか」の問いには, 全体では男性81.5%, 女性71.5%が「はい」と答えていた一方, 3群間で比較した場合, 男女ともFast群では「はい」と回答している者が有意に少なかった(p<0.05).
以上の結果より, 舌圧の高い男性で食事速度が速くなっている傾向はあったものの口腔機能と食事速度との間には大きな関係は認められず, むしろ体力測定に自ら参加するような高齢者では, 「普段からよく噛むことを意識している」といった適切な食行動が身についていることが明らかとなった.
【参考文献】
1) Iwasaki M, Motokawa K, Watanabe Y et al. Association between Oral Frailty and Nutritional Status among Community-Dwelling Older Adults: the Takashimadaira Study. J Nutr Health Aging 2020; 24.