講演情報
[P-120]咀嚼運動が末梢血中のナチュラルキラー細胞の活性とホルモン濃度に与える影響
*國府田 尚暉1、石田 晃裕1、大野 建州2、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京歯科大学口腔科学研究センター)
【目的】
本研究では,咀嚼運動が免疫機構に及ぼす影響を検討することを目的としてナチュラルキラー細胞(NK cell)に着目し,咀嚼運動前後における末梢血中のNK cell活性および免疫機構に影響を及ぼすホルモン濃度の変動を検討した.
【方法】
参加者は口腔内に炎症所見のない,参加同意を得た健常有歯顎男性17名(平均年齢25.9±6歳)とした.実験は各種ホルモンの日内変動を考慮して午前9時から午後2時の間に開始し,実験開始2時間前から禁飲食とした.参加者に30分間のガムチューイングを指示し,チューイング前(T1)と直後(T2)およびチューイング終了後60分間の安静後(T3)の計3回,末梢血を採取した.末梢血から血漿成分を分離し,コルチゾール(ECLIA法),アドレナリン(HPLC法),ノルアドレナリン(HPLC法),および総ドパミン(HPLC法)の濃度を計測した. また末梢血から分離・染色したNK細胞について,活性化マーカーであるCD69の発現状態を測定した.各検査項目について,T1,T2およびT3間でFriedmann検定とMann-Whitney U検定を行った(α=0.05).(東京歯科大大学倫理審査委員会承認1197号)
【結果と考察】
NK cell全体に占めるCD69hi NK cell の割合はT1:9.81±4.72 %(mean±SD),T2:10.49±5.02 %および T3:8.86±3.57 %であり,有意差を認めなかった.各種ホルモンについても変動が見られたものの,ガムチューイング前後で有意差を認めなかった.咀嚼運動は自律神経系と下垂体‐視床下部‐副腎皮質系(HPA-axis)の活動を変化させ,内分泌動態に影響を及ぼすことが示唆されている.本研究ではいずれの計測項目にも統計学的有意差を認めなかったが,NK cell,各種ホルモンともに多くの参加者で類似した数値の変化を認めた.このことから,咀嚼運動によってNK cell の活性の変動および各種ホルモンの血中濃度の変化が生じる可能性が示唆された.
(COI開示:なし)本研究はJSPS科研費24K19978と東京歯科大学ウェルビーイングプロジェクト生体防御ラボ予算の助成を受けて実施された.
本研究では,咀嚼運動が免疫機構に及ぼす影響を検討することを目的としてナチュラルキラー細胞(NK cell)に着目し,咀嚼運動前後における末梢血中のNK cell活性および免疫機構に影響を及ぼすホルモン濃度の変動を検討した.
【方法】
参加者は口腔内に炎症所見のない,参加同意を得た健常有歯顎男性17名(平均年齢25.9±6歳)とした.実験は各種ホルモンの日内変動を考慮して午前9時から午後2時の間に開始し,実験開始2時間前から禁飲食とした.参加者に30分間のガムチューイングを指示し,チューイング前(T1)と直後(T2)およびチューイング終了後60分間の安静後(T3)の計3回,末梢血を採取した.末梢血から血漿成分を分離し,コルチゾール(ECLIA法),アドレナリン(HPLC法),ノルアドレナリン(HPLC法),および総ドパミン(HPLC法)の濃度を計測した. また末梢血から分離・染色したNK細胞について,活性化マーカーであるCD69の発現状態を測定した.各検査項目について,T1,T2およびT3間でFriedmann検定とMann-Whitney U検定を行った(α=0.05).(東京歯科大大学倫理審査委員会承認1197号)
【結果と考察】
NK cell全体に占めるCD69hi NK cell の割合はT1:9.81±4.72 %(mean±SD),T2:10.49±5.02 %および T3:8.86±3.57 %であり,有意差を認めなかった.各種ホルモンについても変動が見られたものの,ガムチューイング前後で有意差を認めなかった.咀嚼運動は自律神経系と下垂体‐視床下部‐副腎皮質系(HPA-axis)の活動を変化させ,内分泌動態に影響を及ぼすことが示唆されている.本研究ではいずれの計測項目にも統計学的有意差を認めなかったが,NK cell,各種ホルモンともに多くの参加者で類似した数値の変化を認めた.このことから,咀嚼運動によってNK cell の活性の変動および各種ホルモンの血中濃度の変化が生じる可能性が示唆された.
(COI開示:なし)本研究はJSPS科研費24K19978と東京歯科大学ウェルビーイングプロジェクト生体防御ラボ予算の助成を受けて実施された.