講演情報

[P-124]有床義歯補綴装置の設計学修支援システムに関するアンケート調査

*岩下 英夫1、濵野 奈穂1、清水 統太1、富野 ゆかり1、薗部 悠司郎1、村上 詩織1、西村 紗稀子1、佐藤 春佳1、清宮 一秀2、山谷 勝彦2、中静 利文2、宮本 績輔1、三宅 忠隆1、福山 卓志1、井野 智1 (1. 神奈川歯科大学歯科補綴学講座有床義歯補綴学分野、2. 神奈川歯科大学歯科診療支援学講座歯科技工学分野)
【目的】
 本学の部分床義歯学実習(3年)においては,鋳造実習を簡略化する一方で,2023年度より,3Dプリンターを使用して製作したフレームワークを導入している.また,学修者自身にCAD設計を体験させ,デジタルシステムの実習への導入を試みている1).そこで,その教育効果を測るべく実施したアンケート調査結果を報告する.
【方法】
 下顎両側遊離端欠損を再現した顎模型を用いて,リンガルバー,RPIクラスプを想定し,設計線の記入・ワックスステップ等の模型調整・耐火模型製作,ワックスアップを自験させた.デジタルスキャン・CAD設計・積層造形を含めた3Dプリンティングに関する講義を行った上で,デジタル設計を体験できるようCADシステム(3Shape社製)を用意し,耐火模型のスキャニングからフレームワーク設計を自験する機会(学生の任意)を設けた.実習終了時に,92名の学生を対象にアンケート調査を行った(図).
【結果と考察】
 学生92名中88名から回答が得られた.「デジタル技術による部分床義歯製作に興味もったか」では,92%が興味を示した.「コンピュター(CADソフト)上での設計を行った」では44%がCAD設計を体験した.CAD設計体験者に対し,「CADソフト上で行うフレームワークの設計に興味を持ったか」では94%が興味を示し,「CADソフト上で行うフレームワークの設計は実習の理解度のアップに役立った」では,90%が理解度の向上に役立つと回答した.「耐火模型上でのワックスアップ(WU)とPC上でのデザイニング(CAD)のどちらが有効的だと思うか」では,81%がCADを選択,7%がWUを選択した.CADの有効性を感じた理由として,操作の簡便性・自由度の高さ・経済的効果という意見があった.今回の結果から,石膏模型を用いたワックス操作などによる演習と共に,デジタルツールを用いることで,補完的な学修効果があるものと考察した.
【参考文献】
1)岩下英夫,清宮一秀,濵野奈穂ほか.有床義歯補綴装置の設計学修支援システムに関する報告.日補綴学会誌西関東支部学術大会特別号2024;15:27.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た 倫理審査委員会名:神奈川歯科大学研究倫理審査委員会 承認番号:994)