講演情報
[P-14]口腔内スキャナーを用いた複製義歯製作時のスキャン経路や形態がデータに与える影響
*小川 秋葉1、今井 実喜生2、加藤 孝実1、鮎川 保則1 (1. 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座 インプラント・義歯補綴学分野 、2. 九州大学大学院歯学研究院歯科先端医療評価・開発学講座)
【目的】
近年,歯科医療においてデジタル化が進んでおり,口腔外スキャナー(以下EOS)や口腔内スキャナー(以下IOS)が用いられている.過去の報告から, IOSはスキャン経路(以下SP)の違いが結果に影響を与える1)ことが知られているが,複製義歯製作時にIOSでの義歯のSPや歯列の形態がデータに及ぼす影響は報告されていない. そこで, 本研究ではIOSを用いた複製義歯製作時のSPや義歯の形態がデータに与える影響について明らかにすることとした.
【方法】
EOS (3Shape CARES® Scanner E4, 3Shape)とIOS (TRIOS4, 3Shape)を用いて,下顎全部床義歯をスキャンした.IOSでのスキャンは咬合面から開始し粘膜面で終了するものと,粘膜面から開始し咬合面で終了するものの2通りのSPで各5回行った. 実験①として, EOSでのデータをコントロールデータ,IOSでスキャンしたものを比較対象のデータとした.次に実験②としてEOSでのデータをコントロールデータ,ユーティリティワックスを用い形態を変えた下顎全部床義歯をIOSでスキャンしたものを比較対象のデータとした. 得られたデータをSTLデータに変換し,ベストフィットでデータの重ね合わせを行った. 研磨面・粘膜面に60カ所の計測点を設定し, 各点の標準偏差から精度と真度を計測した.得られたデータを比較するために,統計解析を行った.
【結果と考察】
実験①:粘膜面からスキャンしたものは咬合面からスキャンしたものと比較して,研磨面において有意に精度が高かった.真度には有意差が認められなかった.粘膜面を大きな凹面とみなし,少ないスティッチング回数でスキャンができたためと考えられた.実験②:加工をしてスキャンしたものは加工をせずにスキャンしたものと比較して研磨面・粘膜面ともに有意に精度が高かった. 真度は粘膜面において有意差が認められた.U字形態から上顎の口蓋に近いD字形態へと変化させることで、スティッチングにおける誤差を小さくすることができたためと考えられた.
【参考文献】
1) Chun J, Park J, Kim M. Analysis on the Accuracy of Intraoral Scanners: The Effects of Mandibular Anterior Interdental Space. Appl Sci 2017, 7, 719
近年,歯科医療においてデジタル化が進んでおり,口腔外スキャナー(以下EOS)や口腔内スキャナー(以下IOS)が用いられている.過去の報告から, IOSはスキャン経路(以下SP)の違いが結果に影響を与える1)ことが知られているが,複製義歯製作時にIOSでの義歯のSPや歯列の形態がデータに及ぼす影響は報告されていない. そこで, 本研究ではIOSを用いた複製義歯製作時のSPや義歯の形態がデータに与える影響について明らかにすることとした.
【方法】
EOS (3Shape CARES® Scanner E4, 3Shape)とIOS (TRIOS4, 3Shape)を用いて,下顎全部床義歯をスキャンした.IOSでのスキャンは咬合面から開始し粘膜面で終了するものと,粘膜面から開始し咬合面で終了するものの2通りのSPで各5回行った. 実験①として, EOSでのデータをコントロールデータ,IOSでスキャンしたものを比較対象のデータとした.次に実験②としてEOSでのデータをコントロールデータ,ユーティリティワックスを用い形態を変えた下顎全部床義歯をIOSでスキャンしたものを比較対象のデータとした. 得られたデータをSTLデータに変換し,ベストフィットでデータの重ね合わせを行った. 研磨面・粘膜面に60カ所の計測点を設定し, 各点の標準偏差から精度と真度を計測した.得られたデータを比較するために,統計解析を行った.
【結果と考察】
実験①:粘膜面からスキャンしたものは咬合面からスキャンしたものと比較して,研磨面において有意に精度が高かった.真度には有意差が認められなかった.粘膜面を大きな凹面とみなし,少ないスティッチング回数でスキャンができたためと考えられた.実験②:加工をしてスキャンしたものは加工をせずにスキャンしたものと比較して研磨面・粘膜面ともに有意に精度が高かった. 真度は粘膜面において有意差が認められた.U字形態から上顎の口蓋に近いD字形態へと変化させることで、スティッチングにおける誤差を小さくすることができたためと考えられた.
【参考文献】
1) Chun J, Park J, Kim M. Analysis on the Accuracy of Intraoral Scanners: The Effects of Mandibular Anterior Interdental Space. Appl Sci 2017, 7, 719