講演情報
[P-149]スロープ形状のインプラントを利用して低侵襲な埋入を行った一症例
*城下 隆一1、中居 伸行1 (1. 関西支部)
【緒言】
抜歯後,歯槽堤が頬舌的に傾斜して治癒することはしばしば起こりうる.特に頬側が舌側に比べて低位に位置している場合が多く,インプラント治療の際,舌側の骨削除あるいは頬側の骨造成が必要となることがある.この様な歯槽堤に埋入された,傾斜したプラットフォームデザインを有するインプラント,すなわちスロープ形状インプラントの良好な予後が報告されている.
今回はインプラントの形状を活かし,可及的に侵襲を減らして埋入を行った一症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は42歳男性.下顎右側大臼歯部の歯肉腫脹と自発痛を訴え来院.6⏋は歯根破折により頬側骨が著しく吸収しており,保存不可能と診断した.抜歯を行い,自発痛の消失を確認した.抜歯後,元々欠損していた7⏋も併せて,患者はインプラントによる欠損補綴を希望した.抜歯後6か月,欠損部位の顎堤は頬側が舌側に対して低位に位置し,頬舌的に大きく傾斜していた.頬側の骨縁に合わせてインプラント体を埋入すると,舌側のプラットフォームが深部に位置し,過剰な骨削除が必要になると考えられた.舌側の骨縁に合わせて埋入すると,頬側にインプラント体のスレッドが露出するため,骨造成が必要であり,より侵襲を伴う手術になることが予想された.そこで,スロープ形状のインプラントを埋入することで,侵襲を可及的に減らす計画を立案し,患者の同意を得た.
実際の手術時には,インプラント体埋入窩を形成後,傾斜したプラットフォームの最下点が頬側骨縁と一致するように埋入を行った.両インプラントの舌側は,やや骨縁下に位置していた.3か月後の二次手術時,ややインプラントプラットフォーム上を覆っていた舌側骨を切削し,ヒーリングアバットメントを装着した.その2か月後,ジルコニアチタンベースを用いた最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
上部構造装着後6か月が経過したが,インプラント及び周囲組織は安定している.また,患者はインプラントによる咀嚼機能回復に満足している.過剰な骨削除や骨造成の回避により,可及的に低侵襲な治療を提供できたことは,患者満足度の向上につながったと考えられる.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た)
抜歯後,歯槽堤が頬舌的に傾斜して治癒することはしばしば起こりうる.特に頬側が舌側に比べて低位に位置している場合が多く,インプラント治療の際,舌側の骨削除あるいは頬側の骨造成が必要となることがある.この様な歯槽堤に埋入された,傾斜したプラットフォームデザインを有するインプラント,すなわちスロープ形状インプラントの良好な予後が報告されている.
今回はインプラントの形状を活かし,可及的に侵襲を減らして埋入を行った一症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は42歳男性.下顎右側大臼歯部の歯肉腫脹と自発痛を訴え来院.6⏋は歯根破折により頬側骨が著しく吸収しており,保存不可能と診断した.抜歯を行い,自発痛の消失を確認した.抜歯後,元々欠損していた7⏋も併せて,患者はインプラントによる欠損補綴を希望した.抜歯後6か月,欠損部位の顎堤は頬側が舌側に対して低位に位置し,頬舌的に大きく傾斜していた.頬側の骨縁に合わせてインプラント体を埋入すると,舌側のプラットフォームが深部に位置し,過剰な骨削除が必要になると考えられた.舌側の骨縁に合わせて埋入すると,頬側にインプラント体のスレッドが露出するため,骨造成が必要であり,より侵襲を伴う手術になることが予想された.そこで,スロープ形状のインプラントを埋入することで,侵襲を可及的に減らす計画を立案し,患者の同意を得た.
実際の手術時には,インプラント体埋入窩を形成後,傾斜したプラットフォームの最下点が頬側骨縁と一致するように埋入を行った.両インプラントの舌側は,やや骨縁下に位置していた.3か月後の二次手術時,ややインプラントプラットフォーム上を覆っていた舌側骨を切削し,ヒーリングアバットメントを装着した.その2か月後,ジルコニアチタンベースを用いた最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
上部構造装着後6か月が経過したが,インプラント及び周囲組織は安定している.また,患者はインプラントによる咀嚼機能回復に満足している.過剰な骨削除や骨造成の回避により,可及的に低侵襲な治療を提供できたことは,患者満足度の向上につながったと考えられる.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た)