講演情報
[P-151]固定性補綴装置により咬合再構成を行った咬合支持喪失症例
*白井 麻衣1、野平 勇人2、鈴木 銀河1、郡 啓介1、鶴岡 淳1、佐藤 洋平1、大久保 力廣1 (1. 鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座、2. 西関東支部)
【緒言】
広範囲かつ多数歯にわたる齲蝕に罹患している場合,歯冠崩壊により咬合支持を喪失し,低位咬合を呈している症例は少なくない.保存可否の診断後,治療の選択肢としてオーバーレイ化した可撤性補綴装置やインプラントを含む固定性補綴装置が考えられる.可撤性補綴は治療期間を短縮しやすく,咬合挙上においても固定性による治療と比較すると容易であることが多い.一方,固定性補綴は治療が長期化し,治療手順も煩雑になる場合があるが,可撤性補綴と比較すると咀嚼能力に優れ患者満足度が高い.
本症例では広範囲の齲蝕による咬合崩壊に伴い咬合支持を喪失した症例に対し,インプラント治療を含めた固定性補綴装置により咬合再構成を行った症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は49歳の女性.2017年に下顎右側臼歯部の疼痛を主訴として近医を受診.全顎的に齲蝕が多発しており,主訴の改善及び全顎的な治療を希望し当院紹介となったが,仕事が多忙のため長期間受診していなかった.
治療方針について患者と相談し,術前検査のうえ,下顎臼歯部の欠損補綴にインプラント治療を行い,その他はブリッジ及びクラウンで補綴治療を行うこととした.下顎の保存困難歯を抜歯し,47, 46, 45, 35, 36, 37欠損に対してインプラント治療を行った.開口量が少なかったため,一部サージカルガイドプレートを併用せず埋入手術を行ったところ,46が遠心傾斜して埋入された.傾斜したインプラントに角度補正アバットメントを適応し,スクリュー固定とした.インプラント治療以外は保険診療を患者が希望したため,前歯部の歯冠修復にはCAD/CAM冠を適応し,審美的な要求に対応した1).
【経過ならびに考察】
最終補綴装置装着後から3年間経過観察を行っているが,周囲組織は問題なく経過している.上顎前歯部のCAD/CAM冠の脱離や一部変色を認めたものの,継続使用されている.今後,固定性補綴装置を長期に維持安定させるために定期的なメインテナンスが肝要である. (発表に際して患者の同意を得た.)
【参考文献】
1) 公益社団法人日本補綴歯科学会 医療問題検討委員会,保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2020.
広範囲かつ多数歯にわたる齲蝕に罹患している場合,歯冠崩壊により咬合支持を喪失し,低位咬合を呈している症例は少なくない.保存可否の診断後,治療の選択肢としてオーバーレイ化した可撤性補綴装置やインプラントを含む固定性補綴装置が考えられる.可撤性補綴は治療期間を短縮しやすく,咬合挙上においても固定性による治療と比較すると容易であることが多い.一方,固定性補綴は治療が長期化し,治療手順も煩雑になる場合があるが,可撤性補綴と比較すると咀嚼能力に優れ患者満足度が高い.
本症例では広範囲の齲蝕による咬合崩壊に伴い咬合支持を喪失した症例に対し,インプラント治療を含めた固定性補綴装置により咬合再構成を行った症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は49歳の女性.2017年に下顎右側臼歯部の疼痛を主訴として近医を受診.全顎的に齲蝕が多発しており,主訴の改善及び全顎的な治療を希望し当院紹介となったが,仕事が多忙のため長期間受診していなかった.
治療方針について患者と相談し,術前検査のうえ,下顎臼歯部の欠損補綴にインプラント治療を行い,その他はブリッジ及びクラウンで補綴治療を行うこととした.下顎の保存困難歯を抜歯し,47, 46, 45, 35, 36, 37欠損に対してインプラント治療を行った.開口量が少なかったため,一部サージカルガイドプレートを併用せず埋入手術を行ったところ,46が遠心傾斜して埋入された.傾斜したインプラントに角度補正アバットメントを適応し,スクリュー固定とした.インプラント治療以外は保険診療を患者が希望したため,前歯部の歯冠修復にはCAD/CAM冠を適応し,審美的な要求に対応した1).
【経過ならびに考察】
最終補綴装置装着後から3年間経過観察を行っているが,周囲組織は問題なく経過している.上顎前歯部のCAD/CAM冠の脱離や一部変色を認めたものの,継続使用されている.今後,固定性補綴装置を長期に維持安定させるために定期的なメインテナンスが肝要である. (発表に際して患者の同意を得た.)
【参考文献】
1) 公益社団法人日本補綴歯科学会 医療問題検討委員会,保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2020.