講演情報
[P-153]口腔内スキャナーとバーチャル咬合器を用いた咬合検査に基づき咬合再構成を行った症例
*岡本 信1、宮崎 朱里1、浜井 麻未1、岡本 美々子1、森 慎吾1、西川 悟郎1、沖 和広1、前田 直人1 (1. 中国四国支部)
【緒言】
我々は,口腔内スキャナーとバーチャル咬合器を用いて,模型咬合検査法と近似した状況を仮想に作り出し,早期接触の検査を行う方法(バーチャルマウント)を考案し実践している1).この度,咬合再構成の症例においてバーチャルマウントを用いてシミュレーションを行うことで,良好な結果が得られたため報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は37歳女性,食べにくいことを主訴に来院した.左右第三大臼歯しか咬合接触しておらず,開咬を呈していた.以前は前歯も咬合していたが,突如現在の咬合状態になったとのことだった.グルコセンサーGS-Ⅱ(GC)による咀嚼能力検査は89mg/dLと低値を示した.岡山大学病院顎関節症外来へ紹介し,両側顎関節円板転移による下顎偏位と診断されたが,顎関節部の改善は期待できないとの意見であった.そのため,現状の蝶番運動の範囲で咬合再構成を行い,咀嚼能力の改善を図ることとした.咬合再構成の治療計画の立案と患者説明のため,バーチャルマウントによるシミュレーションを行った.口腔内スキャナーでスキャンし,上下顎歯列の3次元画像を採得した.下顎を筋肉位に誘導し軟化したワックスを前歯で咬合させた状態で頬側をスキャンし咬合関係を記録した.顔面と口腔内の計測値から算出したパラメータを入力し,生体とバーチャル咬合器の蝶番軸を一致させた2).バーチャル咬合器のインサイザルピンを-2.0 mmに設定したところで右側第二小臼歯に咬合接触点が出現したため,この咬合高径で咬合再構成を行うこととした.下顎両側臼歯10歯の歯冠修復を行い,すべての臼歯で咬合接触を回復させることができた.
【経過ならびに考察】
治療完了1か月後の咀嚼能力検査値は171mg/dLであり,治療前と比較して大幅な上昇が認められた. バーチャルマウントによる咬合検査は,咬合再構成に際しての治療計画立案に有用であり,患者への説明ツールとしても役立つことが示された.
【参考文献】
1) 岡本 信,坂本秀輝.バーチャルマウント 早期接触を探知する新発想の咬合検査.歯界展望 2022;139:544-555.
2) 熊谷元希,岡本 信,安部 克ほか. 顔面計測値を利用してバーチャル咬合器にフェイスボウトランスファーを行った症例.日補綴会誌 2022;14(第131回特別号):318.
我々は,口腔内スキャナーとバーチャル咬合器を用いて,模型咬合検査法と近似した状況を仮想に作り出し,早期接触の検査を行う方法(バーチャルマウント)を考案し実践している1).この度,咬合再構成の症例においてバーチャルマウントを用いてシミュレーションを行うことで,良好な結果が得られたため報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は37歳女性,食べにくいことを主訴に来院した.左右第三大臼歯しか咬合接触しておらず,開咬を呈していた.以前は前歯も咬合していたが,突如現在の咬合状態になったとのことだった.グルコセンサーGS-Ⅱ(GC)による咀嚼能力検査は89mg/dLと低値を示した.岡山大学病院顎関節症外来へ紹介し,両側顎関節円板転移による下顎偏位と診断されたが,顎関節部の改善は期待できないとの意見であった.そのため,現状の蝶番運動の範囲で咬合再構成を行い,咀嚼能力の改善を図ることとした.咬合再構成の治療計画の立案と患者説明のため,バーチャルマウントによるシミュレーションを行った.口腔内スキャナーでスキャンし,上下顎歯列の3次元画像を採得した.下顎を筋肉位に誘導し軟化したワックスを前歯で咬合させた状態で頬側をスキャンし咬合関係を記録した.顔面と口腔内の計測値から算出したパラメータを入力し,生体とバーチャル咬合器の蝶番軸を一致させた2).バーチャル咬合器のインサイザルピンを-2.0 mmに設定したところで右側第二小臼歯に咬合接触点が出現したため,この咬合高径で咬合再構成を行うこととした.下顎両側臼歯10歯の歯冠修復を行い,すべての臼歯で咬合接触を回復させることができた.
【経過ならびに考察】
治療完了1か月後の咀嚼能力検査値は171mg/dLであり,治療前と比較して大幅な上昇が認められた. バーチャルマウントによる咬合検査は,咬合再構成に際しての治療計画立案に有用であり,患者への説明ツールとしても役立つことが示された.
【参考文献】
1) 岡本 信,坂本秀輝.バーチャルマウント 早期接触を探知する新発想の咬合検査.歯界展望 2022;139:544-555.
2) 熊谷元希,岡本 信,安部 克ほか. 顔面計測値を利用してバーチャル咬合器にフェイスボウトランスファーを行った症例.日補綴会誌 2022;14(第131回特別号):318.