講演情報
[P-156]デジタル技術を用いて顎骨再建後に広範囲顎骨支持型補綴による機能回復した一症例
*福徳 暁宏1、小山田 勇太郎1、佐々木 渓人1、八戸 勇樹1、工藤 努1、今 一裕 (1. 岩手医科大学歯学部歯科補綴学講座)
【緒言】
近年,広範囲顎骨支持型補綴は保険適応の範囲が拡大され,腫瘍などの広範囲な顎骨欠損への機能回復治療として需要が高まっている 1).今回,若年者の下顎多数歯欠損症例に対して,デジタル技術を用いて顎骨再建し,その後に広範囲顎骨支持型補綴による機能回復を行い,良好な結果を得たので報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は14歳の男性.下顎右側臼歯部の腫脹を主訴として来院した.2016年,近医にて下顎右側臼歯部の膨隆およびエックス線画像上での透過像を指摘され,本学口腔外科を受診した.検査の結果,骨形成線維腫と診断され,全身麻酔下にて下顎骨腫瘍を切除し,下顎右側第一大臼歯から左側側切歯までを抜去した.その後,将来的なインプラント治療を希望して,2021年に本学口腔インプラント科へ紹介となった.埋入位置をデジタル上でシミュレーションし,適切な埋入を達成するために必要な顎骨形態を模して製作したチタンメッシュと腸骨海綿骨による顎骨再建を行った.2022年にインプラント体(Nobel Active RP,ノーベルバイオケア)を4本埋入し,2023年にスクリュー固定式の最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
最終補綴装置装着後,感圧フィルム(デンタルプレスケール,GC)による機能評価を行い,十分な口腔機能の回復を確認した.現在,4~5カ月毎にメインテナンスを行っており,現在までに異常所見は認めていない.今回,顎骨再建前にシミュレーションを行うことで,広範囲顎骨支持型補綴を一連の流れで行うことができたと考える.また,若年者へのインプラント治療では,顎骨成長に伴う隣接歯との接触喪失や咬合変化が報告されている2).そのため,メインテナンス時には経時的な観察が必要であると考える.(発表に際して患者の同意を得た.)
【参考文献】
1)小山重人.広範囲顎骨支持型装置・補綴治療と診療ガイドライン設定に向けた口腔機能評価 顎顔面補綴 2022; 45-2: 15-20.
2)Koori H,Morimoto K,Tsukiyama Y et al. Statistical analysis of the diachronic loss of interproximal contact between fixed implant prostheses and adjacent teeth. Int J Prosthodont 2010; 23:535–540.
近年,広範囲顎骨支持型補綴は保険適応の範囲が拡大され,腫瘍などの広範囲な顎骨欠損への機能回復治療として需要が高まっている 1).今回,若年者の下顎多数歯欠損症例に対して,デジタル技術を用いて顎骨再建し,その後に広範囲顎骨支持型補綴による機能回復を行い,良好な結果を得たので報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は14歳の男性.下顎右側臼歯部の腫脹を主訴として来院した.2016年,近医にて下顎右側臼歯部の膨隆およびエックス線画像上での透過像を指摘され,本学口腔外科を受診した.検査の結果,骨形成線維腫と診断され,全身麻酔下にて下顎骨腫瘍を切除し,下顎右側第一大臼歯から左側側切歯までを抜去した.その後,将来的なインプラント治療を希望して,2021年に本学口腔インプラント科へ紹介となった.埋入位置をデジタル上でシミュレーションし,適切な埋入を達成するために必要な顎骨形態を模して製作したチタンメッシュと腸骨海綿骨による顎骨再建を行った.2022年にインプラント体(Nobel Active RP,ノーベルバイオケア)を4本埋入し,2023年にスクリュー固定式の最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
最終補綴装置装着後,感圧フィルム(デンタルプレスケール,GC)による機能評価を行い,十分な口腔機能の回復を確認した.現在,4~5カ月毎にメインテナンスを行っており,現在までに異常所見は認めていない.今回,顎骨再建前にシミュレーションを行うことで,広範囲顎骨支持型補綴を一連の流れで行うことができたと考える.また,若年者へのインプラント治療では,顎骨成長に伴う隣接歯との接触喪失や咬合変化が報告されている2).そのため,メインテナンス時には経時的な観察が必要であると考える.(発表に際して患者の同意を得た.)
【参考文献】
1)小山重人.広範囲顎骨支持型装置・補綴治療と診療ガイドライン設定に向けた口腔機能評価 顎顔面補綴 2022; 45-2: 15-20.
2)Koori H,Morimoto K,Tsukiyama Y et al. Statistical analysis of the diachronic loss of interproximal contact between fixed implant prostheses and adjacent teeth. Int J Prosthodont 2010; 23:535–540.