講演情報
[P-26]人工歯の種類による咬合力測定値の差異の検討
*金本 成一1、五十嵐 憲太郎2、大川 孝博4、永田 俊介3、樽川 禅2、片山 絵里加2、望月 麻央2、野口 奈保子2、連記 真2、石井 智浩2、伊藤 誠康2 (1. 日本大学大学院松戸歯学研究科 有床義歯補綴学、2. 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座、3. 日本大学松戸歯学部歯科生体材料学講座、4. 日本大学松戸歯学部)
【目的】
2016年の診療報酬改定により有床義歯咀嚼能力検査が,2018年には口腔機能低下症が保険収載され,咀嚼機能に関する検査の算定回数は増加しつつある1). このうち,咬合力の測定については種々の方法が開発されており,それぞれに基準値が設定されている. しかし,高齢期の口腔内は多様であり,義歯装着者においても使用材料やその状態によって咬合力の発現に影響を受ける可能性が考えられる. 本研究の目的は,人工歯の種類による咬合力の発現の差異を検討することである.
【方法】
人工歯は上顎左側第一大臼歯の陶歯(松風ベラシアSAポーセレン臼歯,松風,京都,日本 以下C群)および硬質レジン歯(松風ベラシアSAポステリア,松風,京都,日本 以下R群)を使用した. 咬合圧の測定は静電容量型感圧センサーシートによる方式(口腔機能モニターoramo-bf,住友理工,愛知,日本)を用いた. 人工歯を直径20mmの円柱状の常温重合レジン(ユニファストⅢ,ジーシー,東京,日本)に歯頚部で固定し,基底面と人工歯の咬頭頂からなる面とを平行に設定し,その高さは13mmとした. 小型卓上試験機(EZ-SX,島津製作所,東京,日本)にて,人工歯を50N,100N,200N,300Nの加重でそれぞれ20回圧縮した. 統計解析はC群,R群の測定値の平均の比較をt検定にて検討した (有意水準5%).
【結果と考察】
C群の50N,100N,200N,300Nそれぞれの測定値は58.1±2.0N,147.1±11.1N,346.9±16.4N,470.3±17.8N,R群は57.2±4.9N,139.5±5.4N,286.1±29.5N,379.8±29.9Nで,100N以上において有意にC群が高い測定値を示した(p < 0.05). 陶歯は硬質レジン歯と比較し靱性が小さく,圧縮強さが大きいことから,人工歯よりも咬合圧センサーの圧変形がより大きくなり,咬合力の発現が大きくなった可能性が考えられた.
【参考文献】
1)佐藤裕二,古屋純一,畑中幸子ほか.歯科病院高齢者歯科における口腔機能低下症の検査・管理の算定状況―社会医療診療行為別統計との比較―. 老年歯学 2023 ;37 (4): 305-311.
2016年の診療報酬改定により有床義歯咀嚼能力検査が,2018年には口腔機能低下症が保険収載され,咀嚼機能に関する検査の算定回数は増加しつつある1). このうち,咬合力の測定については種々の方法が開発されており,それぞれに基準値が設定されている. しかし,高齢期の口腔内は多様であり,義歯装着者においても使用材料やその状態によって咬合力の発現に影響を受ける可能性が考えられる. 本研究の目的は,人工歯の種類による咬合力の発現の差異を検討することである.
【方法】
人工歯は上顎左側第一大臼歯の陶歯(松風ベラシアSAポーセレン臼歯,松風,京都,日本 以下C群)および硬質レジン歯(松風ベラシアSAポステリア,松風,京都,日本 以下R群)を使用した. 咬合圧の測定は静電容量型感圧センサーシートによる方式(口腔機能モニターoramo-bf,住友理工,愛知,日本)を用いた. 人工歯を直径20mmの円柱状の常温重合レジン(ユニファストⅢ,ジーシー,東京,日本)に歯頚部で固定し,基底面と人工歯の咬頭頂からなる面とを平行に設定し,その高さは13mmとした. 小型卓上試験機(EZ-SX,島津製作所,東京,日本)にて,人工歯を50N,100N,200N,300Nの加重でそれぞれ20回圧縮した. 統計解析はC群,R群の測定値の平均の比較をt検定にて検討した (有意水準5%).
【結果と考察】
C群の50N,100N,200N,300Nそれぞれの測定値は58.1±2.0N,147.1±11.1N,346.9±16.4N,470.3±17.8N,R群は57.2±4.9N,139.5±5.4N,286.1±29.5N,379.8±29.9Nで,100N以上において有意にC群が高い測定値を示した(p < 0.05). 陶歯は硬質レジン歯と比較し靱性が小さく,圧縮強さが大きいことから,人工歯よりも咬合圧センサーの圧変形がより大きくなり,咬合力の発現が大きくなった可能性が考えられた.
【参考文献】
1)佐藤裕二,古屋純一,畑中幸子ほか.歯科病院高齢者歯科における口腔機能低下症の検査・管理の算定状況―社会医療診療行為別統計との比較―. 老年歯学 2023 ;37 (4): 305-311.