講演情報

[P-32]サンドブラストの条件がCAD/CAM用ガラスセラミックへの接着強さに及ぼす影響

*中島 健太郎1、新谷 明一1、石田 祥己1、三浦 大輔1、堀田 康弘1 (1. 日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座)
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【目的】
 被着面処理に必須なサンドブラスターは装着直前に使用するにはチェアサイドからの移動が必要であったが,チェアサイドで使用可能な歯科用噴射式切削器が開発されている.本研究ではCAD/CAM用ガラスセラミックスへのブラスト処理をチェアサイドで行うことを想定し,歯科用噴射式切削器の粉粒の種類や粒径の大きさがCAD/CAM用ガラスセラミックスに対する表面粗さとせん断接着強さに及ぼす影響について検討した.
【方法】
 接着対象はCAD/CAM用ガラスセラミックスブロック(ジーシーイニシャルLiSiブロック A2 HT,ジーシー)を選択した.被着面のブラスト処理には歯科用噴射式切削器(アクアケア,アパタイト)を用い,注水下にてアルミナ粒径29 µm(29C),アルミナ粒径53 µm(53C),シルクバイオアクティブガラスパウダー粒径50~70 µm(SYL)を使用した.また,技工用サンドブラスター(Basic classic,Renfert)とアルミナ粒径50 µm(50L)および,技工用サンドブラスター(サイクルブラスターJr,大榮)とアルミナ粒径110 µm(110L)を使用した.さらに,表面処理を行わないコントロール(CON)とフッ化水素酸処理(HF)を加えた7条件とした.表面処理後,被着面の表面粗さを小型表面粗さ測定機にて測定を行った.ブラスト処理後の被着面にセラミックプライマーの塗布を行い,直径2.4 mmの円柱状モールドを試験片の被着面上に設置し,接着性レジンセメントの築盛と各方向から合計60秒間の光照射を行った後,37 ℃の超純水中に24時間静置保管した.せん断接着試験は万能材料試験で,クロスヘッドスピード1.0 mm/minにて行った(n=15).得られた結果は分散分析を行い,Tukey の多重比較検定を行った(α=0.05).
【結果と考察】
 表面粗さは110Lが最も高い値を,CONが最も低い値を示した.せん断接着強さはHFが最も高い値を示し,他の条件と有意な差を認めた.CONとアルミナブラスト処理の4条件には有意な差は認めず,SYLとは有意な差を認めた(p<0.05).結果から,ガラスセラミックスへのブラスト処理は表面粗さを向上させるものの,接着強さには影響しなかった.