講演情報

[P-41]2種類の口腔内スキャナーを用いたオールセラミック修復物の臨床評価

*荒岡 万理1、宮坂 宗永1、駒津 萌乃1、古味 佳子1、川﨑 カオル1、小峰 寛文1、三宅 真理那1、齋藤 恵太郎1、武藤 絢香1、三浦 宏之1 (1. 日本補綴歯科学会 東京支部)
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【目的】
 口腔内スキャナーによる光学印象によって作製した補綴装置の適合精度に関しては多くの報告があるが,模型を併用して作製することも少なくない.そこで本研究では,口腔内スキャナーのみを使用し,模型を使用しない光学印象によるジルコニア補綴装置の破折・脱離状況を元に2年間の臨床報告を行い,その有用性を評価することを目的とした.
【方法】
 口腔内スキャナーTrios3(3Shape),Primescan(デンツプライシロナ)を用いて光学印象採得を行った.ジルコニアディスクはSakuraジルコニアディスク(ストローマンジャパン)を用い,Dental Managerソフト(3Shape)を使用してデザインし,CORiTEC 350i Loader及び150i dry(imes-icore)にてミリングを行い補綴装置(インレー,クラウン,ブリッジ)を作製し,2022年1月から2023年12月までの2年間における院内ラボで作製した補綴装置の破折・脱離状況の調査を行った.
【結果と考察】
 2年間の補綴装置の破折・脱離状況を集計したところ,Trios3での印象において,インレー,アンレー4/35本,クラウン1/184本,ブリッジ0/5本,いずれも最後方臼歯の破折で,脱離はみられなかった.
 一方Primescanではインレー,アンレー2/61本,クラウン12/840本,ブリッジ1/50本に破折または脱離がみられた.破折と比較すると脱離が多くみられ,歯種の偏りはなかった.破折に関してはインレーに多く認められた.クラウンと比べ形態が複雑となり,修復装置が薄くなる場合や,適合性に問題がある場合も認められた.脱離が生じた症例はコアーから脱離が多く,支台歯の選択に問題があった可能性がある.
 これらの結果から,口腔内スキャナーのみを用いて補綴装置の作製を行うことに大きな問題は認められなかった.模型を用いることなく補綴装置の良好な適合が得られることにより,患者の負担軽減,診療室・技工室の清潔化,感染予防など様々なメリットが期待される.今後も長期的な経過を追っていく必要がある.
【参考文献】
1) 木津喜裕子,川津麻乃,三浦宏之ほか.ナノジルコニアを用いたオールセラミックス修復物の臨床評価.日補綴会誌 2011; 120回特別号:224.