講演情報

[P-42]新規ジルコニア用研磨材の研磨性及び耐久性の評価

*原田 宏貴1、弓山 直輝1、鳥田 泰弘1、寺前 充司1 (1. 株式会社松風)
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【目的】
 近年の補綴歯科治療において,モノリシックジルコニア製補綴装置が様々な部位に臨床応用されている.補綴装置装着後の対合歯の摩耗を考慮すると,咬合調整後の面性状は滑沢に仕上げることが重要であり,そのためには適切な研磨材の選択が必須である.弊社が新たに開発したジルコニア用研磨材「グロスマスター ZR(松風)」は,ジルコニアの研磨に適した弊社独自の特殊バインダーにダイヤモンド砥粒を結合している.特殊バインダーは従来の研磨材に使用しているバインダーよりも結合のエネルギーが強く,ジルコニアの研磨において高い研磨性と耐久性が期待できる.本研究では,グロスマスター ZRと従来型バインダーを用いた弊社従来製品の研磨性及び耐久性を評価した.
【方法】
 3Y系ジルコニア板の表面を松風ビトリファイドダイヤ(松風)で研削したもの(表面粗さSa 約0.7µm)を試験片とした.研磨材としてグロスマスター ZR(松風)のミディアム及びファイン、弊社従来製品(ジルコシャイン(松風))のコース、ミディアム及びファインの28 CA形態を使用した.
 ・研磨性試験
 試験片を回転速度20,000 min-1で10秒間研磨し,各研磨STEPにおいて前STEPの傷を完全に除去するのに要した合計研磨時間を計測した.また,研磨後の試験片について,レーザー顕微鏡を用いて表面粗さSaを測定した(N=3).
 ・耐久性試験
 試験片を自動研磨評価装置(松風製)にて,回転速度20,000 min-1で30秒間研磨した.研磨前後の研磨材の消耗量を電子天秤で測定し,Tukeyの多重比較検定法を用いて有意水準1%で統計学的分析を行った(N=3).
【結果と考察】
 結果を図1及び図2に示す.2STEPのグロスマスター ZRは3STEPの弊社従来製品と同程度の滑沢な研磨面を短時間で得られることが示された.また,グロスマスター ZRは弊社従来製品と比較して,研磨前後の研磨材の消耗量が著しく低下することが示された.これらの結果が得られた要因として,グロスマスター ZRに使用しているバインダーが弊社従来製品のバインダーと比較して,砥粒の保持力及び摩擦や熱に対する耐久性に優れているからであると考える.
 以上のことから,グロスマスター ZRは臨床使用実績のある弊社従来製品と比較して,研磨性及び耐久性に優れており,臨床使用においてもその効果が期待できることが示唆された.