講演情報
[P-47]支台築造窩洞ポスト部の形状が光学印象の真度に及ぼす影響
*黒田 祥太1、四ツ谷 護1、佐藤 真紀1、大和田 碧1、露木 悠1、久永 竜一1、関根 秀志1 (1. 東京歯科大学 クラウンブリッジ補綴学講座)
【目的】
近年, デジタル技術の改善により, 口腔内スキャナー(以下IOS)のスキャン計測可能深度が向上している.そのため従来スキャニングが困難とされてきたポスト部を伴う内側性窩洞である支台築造窩洞への臨床応用が可能となった.しかしながらポスト形状が印象採得真度に及ぼす影響因子については不明な部分が多い.本研究の目的は, 支台築造窩洞ポスト部の形状(長さおよび直径)の違いが光学印象の真度に及ぼす影響について調査することとした.
【方法】
先行研究に準じて基準模型を上顎模型(D-18-500H(GUB)-MF, ニッシン)とし, 対象歯は上顎左側第一大臼歯を使用した.対象歯の口蓋根に対し, 髄床底から6mmと8mmの深さで, 直径の異なる3種類の根管形成用バー(RTPリーマー#1, #2, #3, デンテック)を用いてそれぞれ形状の異なるポスト部を形成した6条件の支台歯を製作した.基準模型はビニルシリコーンゴム印象材(FusionⅡ, ジーシー)で印象採得後, 印象面をラボスキャナー(D/R2000, 3Shape)でスキャニングしCADソフトウェア(Dental System, 3Shape)上でSTLデータに変換後, 凹凸反転させマスターデータとした.光学印象採得は, IOS(Primescan, Dentsply Sirona)で各条件の人工歯1本につき6回スキャンを行った(n=6).全ての計測データは3次元計測ソフトウェア(GOM inspect, GOM)上でSTLデータに変換し, ベストフィットアルゴリズム法を用いてマスターデータとの重ね合わせを行った.ポスト部に設定した5点の計測点にて, マスターデータとIOSスキャンデータとの偏差を計測した.その後, 各計測点から得られたマスターデータに対するIOSスキャンデータの偏差を平均してポスト部のスキャン偏差を算出した.データの統計解析は, 一元配置分散分析の後, 多重比較の検定にはBonferroni法を用いた.すべての分析は, 有意水準α=0.05で行った.
【結果と考察】
ポスト部の長さが6mmの場合, ポスト部の直径の違いはスキャン偏差に有意差を認めなかったが, ポスト部の長さが8mmの場合ではポスト部直径が増加するほどスキャン偏差が減少した.それゆえ支台築造窩洞ポスト部の形状は, IOSを用いた光学印象採得の真度に影響することが示唆された.
近年, デジタル技術の改善により, 口腔内スキャナー(以下IOS)のスキャン計測可能深度が向上している.そのため従来スキャニングが困難とされてきたポスト部を伴う内側性窩洞である支台築造窩洞への臨床応用が可能となった.しかしながらポスト形状が印象採得真度に及ぼす影響因子については不明な部分が多い.本研究の目的は, 支台築造窩洞ポスト部の形状(長さおよび直径)の違いが光学印象の真度に及ぼす影響について調査することとした.
【方法】
先行研究に準じて基準模型を上顎模型(D-18-500H(GUB)-MF, ニッシン)とし, 対象歯は上顎左側第一大臼歯を使用した.対象歯の口蓋根に対し, 髄床底から6mmと8mmの深さで, 直径の異なる3種類の根管形成用バー(RTPリーマー#1, #2, #3, デンテック)を用いてそれぞれ形状の異なるポスト部を形成した6条件の支台歯を製作した.基準模型はビニルシリコーンゴム印象材(FusionⅡ, ジーシー)で印象採得後, 印象面をラボスキャナー(D/R2000, 3Shape)でスキャニングしCADソフトウェア(Dental System, 3Shape)上でSTLデータに変換後, 凹凸反転させマスターデータとした.光学印象採得は, IOS(Primescan, Dentsply Sirona)で各条件の人工歯1本につき6回スキャンを行った(n=6).全ての計測データは3次元計測ソフトウェア(GOM inspect, GOM)上でSTLデータに変換し, ベストフィットアルゴリズム法を用いてマスターデータとの重ね合わせを行った.ポスト部に設定した5点の計測点にて, マスターデータとIOSスキャンデータとの偏差を計測した.その後, 各計測点から得られたマスターデータに対するIOSスキャンデータの偏差を平均してポスト部のスキャン偏差を算出した.データの統計解析は, 一元配置分散分析の後, 多重比較の検定にはBonferroni法を用いた.すべての分析は, 有意水準α=0.05で行った.
【結果と考察】
ポスト部の長さが6mmの場合, ポスト部の直径の違いはスキャン偏差に有意差を認めなかったが, ポスト部の長さが8mmの場合ではポスト部直径が増加するほどスキャン偏差が減少した.それゆえ支台築造窩洞ポスト部の形状は, IOSを用いた光学印象採得の真度に影響することが示唆された.