講演情報

[P-49]CAD/CAM用二ケイ酸リチウムガラスセラミックブロックにおける光沢度の評価

*新倉 瑞樹1、秋山 茂範1、佐藤 拓也1 (1. 株式会社ジーシー)
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【目的】
 CAD/CAMを利用したガラスセラミックス修復の需要が年々増加しており,特に二ケイ酸リチウムガラスセラミックスは高い審美性と強度を併せ持つ材料である.臨床では上記材料を使用する際に加工機で研剤加工を行い,研磨材やグレーズ材を用いて補綴装置の艶出しを行う.ジーシーでは,加工後の結晶化熱処理工程が不要なCAD/CAM用二ケイ酸リチウムガラスセラミックスであるイニシャルLiSiブロック(以下「LS」)を発売している.LSは,研磨による仕上げのみで補綴装置を製作することが可能であるため,機械加工後の研磨手法は極めて重要である.そこで本研究では,各研磨材を用いた場合に得られる艶を光沢度Gsで評価した.
【方法】
 CEREC MCXL(デンツプライシロナ)にてLSから1.0×1.0×0.5 mmの平板を加工した.試験片表面の研磨にはマイジンガーラスターキットLiSiツイストラボ用を使用した.マイジンガーポリッシャー(FPDPO03)で研磨し,続いて,FP9771M(仕上げ用途),FP9771C(艶出し用途)および,超硬質レジン用艶出し研磨材グラディア ダイヤポリッシャー(以下「DP」)を塗布したマイジンガーポリッシャー(FP140)を用いて試験片の研磨を行った(n=3).研磨材の試験面に対する荷重は0.4~1.5 Nに設定した.各研磨後の試験片について,光沢計(VG7000,日本電色工業社)を用いて光沢度 Gs60を測定し,Tukeyの多重比較法を用いて有意水準1%で統計学的分析を行った.また,SEM観察を行い,LS微細構造を確認した.
【結果と考察】
 各研磨条件における光沢度を図1に示す.いずれの条件においても,コントロールと比較して光沢度が増加することが確認された.特に条件3および条件4では,目視で明らかな光沢が得られたことを確認した.図2に示したSEM観察の結果より,LSはサブミクロンオーダーの微細な結晶を高密度に析出していることが確認された.微細な結晶が高密度に析出していることが,LSの研磨後の良好な光沢度に寄与したのではないかと考えられる.以上より,ジーシーの推奨手順に沿った研磨システムは,LSの艶出しにおいて有効である.