講演情報

[SSY-1]無歯顎患者の評価とその補綴方法

*杉田 龍士郎1 (1. 東関東支部/東京科学大学)
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キーワード:

無歯顎、全部床義歯、インプラント補綴

8020運動に対する取り組みや、う蝕・歯周病予防の普及もあって、上下無歯顎患者の割合は、我が国において減少傾向にある。しかしながら、いざ無歯顎となった場合に、難症例化しやすいケースは増えている。ひと昔前は、患者は比較的若い段階で無歯顎となったため、顎堤は十分、患者の義歯に対する適応力も高く、問題なく全部床義歯に順応できるケースが多かったが、現在は患者が高齢化してから全部床義歯に移行するため、義歯装着後に、患者・術者ともに苦労する場合が多いように感じる。患者の義歯に対する適応力や唾液の減少も問題になるが、歯列が終末化しているにも関わらず、歯の無理な保存が行われた場合は、義歯を支える顎堤が高度かつ不均衡に吸収していることが多く、機能的な義歯を作製するのが困難なケースも存在する。難症例に対しては、米国ではインプラントを用いた欠損補綴を行うことが推奨されており、McGill コンセンサス以降、世界的には下顎無歯顎の第一選択は2インプラントオーバーデンチャーであると言われて久しいが、日本においてはこれが十分に普及しているとは言い難い。本講演では、まず従来型全部床義歯補綴を行う上で重要な患者要素、解剖学的条件の評価方法を紹介する。そして、従来型全部床義歯による補綴の予後が良くないと判断される場合の代替手段として、インプラントを用いた無歯顎補綴の4つの手法について網羅的に解説することを通じて、難症例化する無歯顎補綴を成功に導く鍵を参加者に対して提示したいと思う。