講演情報

[SY10-1]インプラントパーシャルデンチャーの科学的現在地とその実際

*黒嶋 伸一郎1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔機能学分野 冠橋義歯・インプラント再生補綴学教室)
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キーワード:

インプラント、部分床義歯、クラス分類

わが国は超高齢社会のフロントランナーとしてその地位を確立しており,人口動態の変化は補綴歯科治療の在り方そのものにも大きな影響を与えるようになってきている.一方,デンタルインプラント治療は予知性の高い補綴歯科治療術式のひとつであるが,インプラント治療希望患者の高齢化が加速していることが国内外で報告されており,インプラント治療にもパラダイムシフトが求められている.
 インプラント支持型上部構造の種類は多岐にわたるが,その中でも近年,インプラント支持型可撤性補綴装置のひとつであるインプラントパーシャルデンチャー(Implant Removable Partial Denture:IRPD)に注目が集まっている.IRPDは1990年代初頭に提唱された補綴歯科治療術式であるが,当時は積極的な治療術式とはならなかったように思われる.しかしながら,この30年でIRPDに関する治療術式の改変や基礎・臨床研究が大きく進展して科学的情報が収集されるようになり,天然歯や義歯床下粘膜との被圧変位量の差が大きくても,少数本のデンタルインプラントを有効活用して良好な治療成績が得られるようになってきている.そこで本シンポジウムでは,IRPDのクラス分類,埋入インプラント本数,埋入位置,使用するアタッチメントやクラスプ,与える咬合様式,生物学的・補綴学的不具合などに焦点を当て,臨床例を交えながらIRPDに関する科学的現在地をご提供しようと思う.本講演が明日からの日常臨床に少しでもお役に立てれば幸いである.