講演情報

[SY10-3]IRPD:インプラントによる義歯の回転変位の制御

*佐藤 洋平1,2 (1. 鶴見大学歯学部口腔リハビリテーション補綴学講座、2. 西関東支部)
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キーワード:

IRPD、すれ違い咬合、相互回転変位

欠損症例に対する義歯臨床で最も困難な要素は義歯の回転変位だと考えている。残存歯があることで、残存歯と顎堤の被圧変位差、残存歯による支台間線を軸とした回転変位が生じる。そのため中間欠損より遊離端義歯が困難であり、欠損のスパンが長くなるほど困難度が増す。加えて上下顎の対向関係から、咬合力を強く発生させる残存歯側と受容側にあたる顎堤の被圧変位の差が義歯の過大な回転変位をもたらす。カマーの分類や宮地の咬合三角のような咬合支持域に着目した分類を用いることで、より困難な症例が見えてくる。 過去に義歯の回転変位を抑制するため数多の設計や手技の工夫が考案されてきたが、すれ違い咬合やコンビネーションシンドローム症例などにおいて生じる義歯の回転変位は著しく、インプラントを用いない義歯設計だけでは制御することは難しい。回転変位により最も沈下が予想される部位に埋入することで対応するのは有効な対処法となる。しかし、インプラントを応用しても回転変位を完全に止めることは困難である。加えて義歯やインプラントが過大な咬合力を負担するため機械的合併症は多くなる。また、理想的な部位に、理想的な本数のインプラントが埋入できるわけではない。そのような制御が難しい相互回転変位に対する埋入位置の工夫や支台装置の検討を議論したいと考えている。