講演情報
[SY2-2]可撤性インプラント補綴におけるデジタルワークフロー
*金澤 学1 (1. 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野)
キーワード:
インプラントオーバーデンチャー、デジタルワークフロー、全部床義歯
2002年のMcGill consensus statementにおいて下顎の無歯顎患者への第一選択はインプラント2本によるインプラントオーバーデンチャー(IOD)であるとされている.下顎2-IODは可撤性義歯であり,インプラントによる支持・把持・維持を得ながら,臼歯部における粘膜支持も必要になる.このことから,治療計画において一番重要なことは,インプラント埋入手術前に適切な床縁形態を有した全部床義歯を製作することである.適切な全部床義歯をラジオグラフィックガイドとして,CT撮影を行い,適切な全部床義歯と顎骨の形態と位置関係をみながら,3Dシミュレーションを行い,インプラント埋入計画を立案する.この診査によりIODにとっての適切なインプラント埋入位置を決めることが可能になる.この診査・診断において重要な全部床義歯作製工程は現義歯を改造し,スキャンすることで従来よりも簡便に行うことが可能である. また,インプラントオーバーデンチャーの作製に関しては,ミリングマシンを用いたミルドデンチャーや3Dプリンタを用いた3D printed dentureが応用され始めている.当分野で開発したカスタムディスクを用いたミルドデンチャーもIODへの応用が可能になってきた.IODにおいてもこのようなデジタルソリューションは応用可能であり,現状でのその使用法について解説をする.本講演では,IODによる補綴においてデジタル化される部分とされない部分をエビデンスと症例を交えながら解説をする.