講演情報

[SY3-座長][座長抄録] 補綴歯科治療の未来へ向けた体性幹細胞の応用展開

*西村 正宏1、*山田 将博2 (1. 大阪大学 大学院歯学研究科 再生歯科補綴学講座、2. 東北大学 大学院医工学研究科 メカノ医歯工学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

常在性幹細胞、加齢変化、組織再生

歯科イノベーションロードマップでは、2040年までに幹細胞を用いた歯や歯周組織の再生技術の実用化が掲げられている.歯の欠損に伴う形態・機能回復を担う歯科補綴学は、これら技術革新を中心的に推し進める役割をもつ.近年のオミクス解析技術の進歩により、組織に局在する新たな体性幹細胞やそのユニークな細胞機能が次々と発見され、体性幹細胞研究は新たな段階へと進んでいる。そのため、様々な疾患の検査・治療技術を開発する標的細胞として、体性幹細胞が注目されている.さらに、幹細胞の増殖・分化を制御する物理化学的機構が解明され、幹細胞分化の時空間的制御を可能とする細胞培養技術が発展し、体性幹細胞の医療応用に向けた機運は益々高まりをみせている.本シンポジウムでは,まず長﨑大学の松下祐樹先生に,骨髄間質細胞の可塑性や新たに同定された骨内膜幹細胞の機能など、骨の体性幹細胞動態・機能に関する最新知見についてご紹介いただく.次に,岡山大学の秋山謙太郎先生に,体性幹細胞と免疫機構の相互作用における加齢変化の視点で超高齢社会での歯科治療における体性幹細胞研究の役割についてお話いただく.最後に,東北大学の新部邦透先生より,体性幹細胞の三次元培養技術を応用した歯の再生技術開発の現在地をお示しいただく.これら講演を通じて,体性幹細胞研究がもたらす補綴歯科イノベーションの未来について,参加者と議論を深めていきたい.