講演情報
[SY7-3]訪問歯科衛生士の食支援
*合掌 かおり1 (1. 東海支部)
キーワード:
訪問歯科衛生士、食支援、多職種協働
在宅医療の現場では、目の前の患者の「食べる」をどのように支えるかが支援者全員の共通の課題である。しかし、食べられない原因が口腔にあるにもかかわらず、それが発見されず、食べられない状態が継続している患者が多く存在する。当院は、医科の中の一診療科として歯科が存在する珍しい在宅専門のクリニックである。食べられない患者がいる場合、まず歯科衛生士が状態確認に出向き、食べられない原因を探る。多くの場合、口腔ケア不足により口腔内の環境が悪化し、歯科疾患が増加、さらに口腔機能の低下を招いている。また、患者の食べる機能に合わせた食事形態や環境が整えられていないことが多い。これらを整えることが歯科の役割となる。「食べることを整える」第一歩として、まず取り組むのは口腔のケアである。口腔の衛生状態を維持するだけではなく、口腔を刺激し、動かすことで口腔機能を維持・回復させることを同時に行う。また、機能回復の過程で必要となる歯科治療(補綴治療)については、歯科医師と連携し治療を支える。食の支援は歯科にとどまらず、全身状態の安定、食形態、姿勢などの食環境、さらに食に関わるスタッフの支援体制を整えることなども含み多岐にわたる。これらは医科・歯科・介護・患者と家族が目標を共有し、協働しなければうまくいかない。このように多くの人たちと一緒に患者の生活全体に関わっていくことが訪問歯科診療の魅力であり、歯科衛生士にとってのやりがいである。本シンポジウムでは、歯科の食支援の魅力や奥深さについて共有する場としたい。