講演情報

[SY7-4]医科歯科連携における歯科医師の役割、補綴歯科専門医の役割

*三輪 俊太1,2 (1. 東海支部、2. 大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢 者歯科学講座)
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キーワード:

食支援専門医、補綴歯科専門医、医科歯科連携

医科歯科連携が推進される中で、歯科医師の役割は単に歯を治すことにとどまらない。歯科医師には、食べることに広く関与する「食支援専門医」としての立場が求められている。この役割は、家庭医療医や総合診療医を支える神経内科医や皮膚科医のような専門医の立場に類似している。歯科医師は全身疾患の視点を含めて摂食嚥下機能を評価し、原因を診断するという重要な役割を担い、さらに歯科衛生士、言語聴覚士、看護師などの多職種と連携することで、患者の「食べる」ことを支援する。このような支援を通じて、患者が再び食べる楽しみを取り戻し、栄養状態やQOLの向上に寄与することが期待されている。その中でも、補綴分野、特に義歯臨床は全ての職種の中で歯科医師だけが行うことができる独自の分野である。しかし、予防歯科の進展による義歯臨床経験の減少や、要介護状態にある患者が初めて義歯を使用するような難症例の増加により、すべての歯科医師が訪問診療の義歯臨床に対応できるわけではない。このような状況下で、補綴歯科専門医の役割が重要となる。補綴歯科専門医は歯科医師としての基本的な役割を果たしながら、義歯の難症例に対応し、「噛んで食べる喜び」を回復させる役目を担う。適切な義歯は、患者の全身的な健康維持において欠かせない役割を果たす。本講演では、食支援専門医としての歯科医師の役割と、義歯臨床における補綴歯科専門医の高度な専門性について取り上げる。これを通じて、医科歯科連携における歯科医療職種が果たすべき役割を整理する機会としたい。