講演情報

[SY7-座長][座長抄録] 医科歯科連携における歯科衛生士,補綴歯科専門医の重要性

*笛木 賢治1、*二川 浩樹2 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科咬合機能健康科学分野、2. 広島大学大学院医系科学研究科口腔生物工学研究室)
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キーワード:

医科歯科連携、補綴歯科専門医、歯科衛生士

高齢者医療や歯科訪問診療において,患者のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を向上させることは,重要な課題である.しかし,現場では医科と歯科の連携が十分に機能しておらず,患者が本来得られるべき治療成果が制限されているのが現状である.特に,補綴歯科専門医の役割が医科の現場で十分に認識されていない点は大きな課題として挙げられる.また,歯科衛生士は医科の現場で必要とされる機会が増えているものの,「歯磨き担当者」という認識に留まりがちな状況も課題である.
 本セッションでは,医師,歯科衛生士,補綴歯科専門医がどのように連携し,患者が安全に「食べる」「噛む」機能を取り戻すのか,具体的な事例を交えながら明らかにしたい.まず,草島邦夫先生には,医師の立場として,患者の全身状態の把握,嚥下機能や栄養問題の評価の重要性についてご解説いただく.次に,三輪俊太先生からは,補綴歯科専門医が適切な治療を行うことで,患者がどのように再び噛む機能を回復し,食事を楽しむことができるのかについてご解説いただく.歯科衛生士の立場から,藤井重子先生,合掌かおり先生からは,歯科衛生士がゲートキーパーとして口腔内の評価を行うことで,どのように医師と歯科医師をつなぐ役割を果たすべきかについてお話いただく.口腔のケアは単なる清掃に留まらず,食べるための機能を整える重要なプロセスである.歯科衛生士と補綴歯科専門医が果たす役割の重要性を改めて確認し,多職種が連携することで医科歯科連携をより効果的にするための方法について議論したい.