講演情報
[SY9-1]口腔顔面痛のメカニズム
*篠田 雅路1 (1. 日本大学歯学部生理学講座)
キーワード:
口腔顔面痛、侵害情報伝達経路、ニューロン‐グリア クロストーク
われわれ歯科医師の診療範囲である口腔顔面領域では,歯髄炎,歯周炎,口内炎,舌痛症,顎関節症や三叉神経痛など “痛み”を伴う疾患が非常に多い.その原因はさまざまであり,画一的な治療で除痛することは困難である.したがって,歯科医師は口腔顔面痛を的確に診断し,適切な治療を提供することが求められるため,口腔顔面痛に対する十分な知識が必要とされる.
口腔顔面領域の侵害情報は三叉神経節ニューロンで受容され,三叉神経脊髄路核および上部頸髄に伝達される.その侵害情報は上行し,視床を経て大脳皮質体性感覚野や大脳辺縁系に伝達され,はじめて「痛み」を認知する.この末梢から中枢神経系に至る侵害情報伝達経路のどこかに可塑的変化が起こることにより,口腔顔面領域に異常な痛みが生じると考えられている.近年の研究から,口腔顔面領域の異常疼痛発症には一次ニューロンにおける疼痛関連受容体の量的および質的変化,中枢神経における侵害情報伝達系の興奮性および抑制性シグナルのバランス不全,ニューロンとグリア細胞(サテライト細胞,ミクログリア,アストロサイト,オリゴデンドロサイト)や免疫細胞間コミュニケーションの変調など多くの侵害情報伝達機構の可塑的変化が関与していることわかってきた.
本シンポジウムでは,基本的な口腔顔面領域の疼痛伝達機構とともに口腔顔面領域の異常疼痛発症メカニズムを最新の知見も交えて概説する.そして,日常歯科臨床で「口腔顔面痛に対して、われわれは何ができるか?」を議論したい.
口腔顔面領域の侵害情報は三叉神経節ニューロンで受容され,三叉神経脊髄路核および上部頸髄に伝達される.その侵害情報は上行し,視床を経て大脳皮質体性感覚野や大脳辺縁系に伝達され,はじめて「痛み」を認知する.この末梢から中枢神経系に至る侵害情報伝達経路のどこかに可塑的変化が起こることにより,口腔顔面領域に異常な痛みが生じると考えられている.近年の研究から,口腔顔面領域の異常疼痛発症には一次ニューロンにおける疼痛関連受容体の量的および質的変化,中枢神経における侵害情報伝達系の興奮性および抑制性シグナルのバランス不全,ニューロンとグリア細胞(サテライト細胞,ミクログリア,アストロサイト,オリゴデンドロサイト)や免疫細胞間コミュニケーションの変調など多くの侵害情報伝達機構の可塑的変化が関与していることわかってきた.
本シンポジウムでは,基本的な口腔顔面領域の疼痛伝達機構とともに口腔顔面領域の異常疼痛発症メカニズムを最新の知見も交えて概説する.そして,日常歯科臨床で「口腔顔面痛に対して、われわれは何ができるか?」を議論したい.