講演情報

[SY9-3]慢性口腔顔面痛患者にどのように対応するのか?

*大久保 昌和1 (1. 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座,口・顔・頭の痛み外来)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

口腔顔面痛、慢性疼痛、国際分類

慢性疼痛に対するグローバルな政策がすすめられている.国際疼痛学会,INfORM/IADR,米国口腔顔面痛学会,国際頭痛学会から構成された口腔顔面痛分類委員会により2020年に公開された国際口腔顔面痛分類は,1.歯と歯槽部および解剖学的に関連する構造の障害による口腔顔面痛,2.筋筋膜性口腔顔面痛,3.顎関節痛,4.脳神経の病変または疾患による口腔顔面痛,5. 一次性頭痛の症状に類似した口腔顔面痛,6. 特発性口腔顔面痛に大分類され,さらに7.口腔顔面痛患者の心理社会的評価もあわせて生物心理社会モデルに立脚した視点で運用するよう提案されている.また,それに先立ち,2019年には国際疼痛学会が慢性疼痛分類を改訂し発表した.慢性疼痛は3か月以上持続または再発する痛みと定義され,痛みの原因となる病態と疼痛部位をもとにして慢性一次性と二次性頭痛または顔面痛を含む7つのカテゴリーに分類されている.特筆すべきは,同時期に公表された国際疾病分類第11回改訂版にはじめて慢性疼痛が分類,コード化されたことである.これらあらゆる分野の専門家の協力により提案された国際分類は,正確な診断を可能にし,医療専門家間のコミュニケーションを強化するだけでなく,この困難な分野の研究と患者ケアに大きく貢献する可能性を秘めており,分野を越えて臨床医にも広い視野を提供することが期待されている.本シンポジウムでは慢性口腔顔面痛患者を理解しどのような対応が望まれているのか,最近の国際的なトレンドに基づき皆様と共有したいと考えている.