講演情報

[CS2-3]症例報告の考察・結論:読み手に伝わる書き方と投稿のポイント

*原田 佳枝1 (1. 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 歯科補綴学分野)
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キーワード:

1. 症例報告、2. 考察、3. 倫理的配慮

症例報告論文は若手の頃から取り組みやすい論文形式だが,その中でも考察や結論は「どこまで言っていいのか」の加減が難しく,最も迷いやすい部分ではないだろうか.演者自身,若手の頃よくわからないまま書き始め,悩んだことがある.本講演では,考察を組み立てる際の基本的な視点を整理する.
 まず重視すべきは,治療経過や判断過程,結果といった事実を過不足なく記載することである.考察は単なる結果の繰り返しとならないように,解釈を加える前に,症例で実際に起きたことを整理し直す作業が欠かせない.その際,①読み手が経過と臨床判断を追えるか(介入の理由,観察時点,比較の視点が明確か),②客観的な評価指標や図表で結果が確認できるか(評価の方法・単位・時点がそろっているか),③評価的表現が事実と合っているか(断定が先行していないか),④結論がこの1症例から導ける範囲を超えて一般化していないか,という4つの視点で点検すると,論理の飛躍を防ぎやすい.引用文献は,症例の文脈を補足し位置づけを明確にするために,関連性の高いものに絞る.こうした点を意識することで,エビデンスとナラティブがうまく統合され,初稿から論旨が明確で読み手に伝わる原稿につながる.結論を臨床的示唆としてまとめるコツについても触れる予定である.また,投稿時に見落としがちな注意点を,倫理面・図表作成・編集側の視点から紹介する.最後に,新設が予定されている日本補綴歯科学会誌論文賞にも触れ,臨床成果を文献として残す意義を共有したい.