講演情報
[1Yin-A-51]潜在知の形式化・共有における社会的ジレンマの定式化
〇川村 純1、箱石 健太1,2 (1. 日本工営株式会社、2. 筑波大学大学院)
キーワード:
知識共有、潜在知、社会的ジレンマ、知識コモンズ、ナレッジマネジメント
生成AIの発展により形式知のコモディティ化が進む一方、質問を通じて断片的に形式化される「潜在知」は、組織の競争力、公益の実現、生成AI研究基盤において重要性を増している。しかし潜在知の形式化・共有には、フリーライダー問題、アンチコモンズの悲劇、サイロ化問題といった社会的ジレンマが存在し、知識共有が過少となりやすい。このためインセンティブ導入の必要性は指摘されてきたが、①三つのジレンマを同時かつ単純に説明できるモデルが不在であり、具体的な提案や批判が困難であること、②コミュニティ主導のルール形成・ガバナンスに関するコモンズ研究の知見を十分に活用できていないことが課題である。そこで本研究は、潜在知の形式化・共有に関わる質問者と受動的知識共有者(回答者)の利得モデルを構築し、三つのジレンマを定式化するとともに、コモンズ研究を参照してガバナンスの方向性を整理した。本研究の貢献は、潜在知共有の成立条件を単純な利得モデルとして示すことで、質問者インセンティブ、競争力低減への補填、合意形成コスト削減を実現する独自ガバナンスの重要性を明らかにし、制度設計の基盤を提示したことである。
