講演情報

[4Yin-A-02]誰にとっての公正さか?AI倫理における価値観ギャップと制度化の条件

〇宮崎 あおい1 (1. 千葉大学)

キーワード:

人工知能、倫理、公平さ

本研究は、生成AIの社会実装が急速に進展する中で顕在化する倫理的課題のうち、「公正さ」の定義をめぐる認識の差異に着目し、制度設計への示唆を導出することを目的とする。人工知能技術者と一般利用者の間には、公正さに関する価値観のギャップが存在し、それがAIによる意思決定の受容性や社会的信頼性に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、2020年に人工知能学会員や一般SNSユーザを対象にWebアンケート調査(n=600)を実施し、公正さの定義、社会認識、AIへの期待について属性別分析を行った。その結果、技術者は手続きの正当性や取引の公平性を重視する傾向が強い一方、一般回答者は結果の平等や弱者保護を重視する傾向が確認された。この価値観ギャップは、AI開発過程において特定の倫理観が無自覚に制度へ埋め込まれるリスクを示唆している。以上より、公正なAI社会実装に向けて、多層的な公正概念の制度化、技術者倫理教育の体系化、国際制度との接続を通じた制度耐性の強化が不可欠であることを提言する。