講演情報

[4Yin-A-13]大規模言語モデルにおける認知症スティグマの分析

〇萩山 直紀1、瀧本 祥章1、倉島 健1 (1. NTT株式会社)

キーワード:

大規模言語モデル、認知症、スティグマ

認知症の人に対する偏見や差別は認知症スティグマと呼ばれ,認知症の人の支援要請行動の遅延や回避の要因となっている.大規模言語モデル(LLM)は認知症支援への活用が期待される一方,学習データに由来する偏見や差別の再生産が指摘されており,LLMが認知症スティグマをどの程度再生産するかは十分には検証されていない.本研究は,LLMの認知症支援への適用可能性を検討する基礎的分析として,GPT-5が示す認知症スティグマ評価を実施する.実験では,人間の認知症スティグマを測定する質問紙により,複数のパラメータや条件下でGPT-5の認知症スティグマを計測し,人間の回答データと比較した.実験の結果,GPT-5は「認知症の人への社会的排除や回避行動・態度」「認知症と診断された際の不安や恥の意識」「認知症の人に対する前向きな態度や尊重の意識」において,人間より低いスティグマを示した.一方,「認知症と診断された際の医療や社会からの差別の恐怖」は人間より高いスティグマを示したが,有意差は確認されなかった.また,推論量,回答の冗長性,回答理由の生成有無により,認知症スティグマが変動する可能性が示唆された.