講演情報

[5Yin-A-12]情報の非対称性を考慮したマネーロンダリングの検知精度の評価:シミュレーションデータを用いた定量評価

〇関口 頌一朗1、杉 美帆1、駒井 雅之1、小間 洋和1 (1. シンプルフォーム株式会社)

キーワード:

マネーロンダリング、金融、銀行、金融取引

マネーロンダリング事犯は増加傾向にあり,実効性のある検知手法が求められている.既存研究の多くは複数銀行間の取引が観測可能であることを前提としており,秘匿性の高い取引データを扱う実運用環境においては現実的ではない.本研究の目的は,各金融機関が自行に関係するデータのみを利用できるという現実的な制約下において,検知精度がどの程度変化するかを明らかにすることである.手法として,全取引が可視化された理想的な状態と,単一銀行の取引のみが可視化された制限状態の二つの設定でベースラインモデルを学習・比較した.結果,単一銀行の視点では検知精度が全般的に低下することを確認した.さらに,局所的な行動特徴量の導入により一部のモデルで改善が見られたものの,理想条件との精度差を解消するには至らず,単一銀行が観測可能な情報には構造的な上限があることが示された.これらの結果から,特徴量設計の改善だけでは限界があり,観測可能な情報量そのものを拡大する取り組みが重要であることを考察した.