講演情報
[VPD5-8]低位筋間痔瘻に対する括約筋温存手術術後の肛門機能に関する検討
辻 順行, 濱田 博隆, 中村 寧, 伊禮 靖苗, 松本 朝子, 玉岡 滉平, 吉元 崇文, 高野 正太, 高野 正博 (大腸肛門病センター高野病院)
痔瘻根治術を施行するには正しい診断が必要で,痔瘻の原発口,原発巣,瘻管の走行,二次口の各々の位置と立体的な全体像を正確に把握できる表記が必要である.主な痔瘻の分類としてParks分類と隅越分類があるが,最も頻度の高い肛門陰窩から感染し皮膚側に進展する痔瘻の表記には隅越分類が優れている.今回はIIL痔瘻に対する括約筋温存手術(以下,括温)術後の肛門機能に対して主に焦点を当てたので報告する.
(基本事項)1.当院のIILに対し開放術の再発率は0.6%,括温は1.4%で有意差はなかった.2.前方,側法,後方のIILに対し開放術を行った1年経過後の肛門のトーヌスのアンケートは部位に関係なくトーヌスの低下が自覚された.以上より当院ではIILには部位に関係なく括温を標準術式としている.
(手術法)当院の括温は,二次口から外括約筋外縁までの二次瘻管を剥離・牽引することで一次口を同定し,肛門縁から皮膚切開し内括約筋内を剥離することで瘻管を確認・切離し,この際に形成された筋粘膜弁を内括約筋に縫合固定し原発口からの瘻管の連続性を遮断し終了する.
(目的・対象)2021年1月からの2年間に低位筋間痔瘻50名を対象に経時的な再発率,肛門内圧と肛門の機能障害のスコアー調査を術前と術後3ヶ月おきに(最長18ヶ月間)施行し追跡し,今回この手術法の肛門機能に与える影響を経時的に精査した.
(結果)1.再発症例0例,2.術後便もれ・ガスもれ等0例であった.3.括温症例(50例)における内圧変化は,MRP(mmHg)は術前平均136±24が,術後3か月で有意に低下し(107±27)(P<0.01),以後12か月後まで低下し,その後回復する傾向がみられた.MSPは術前平均419±117が,術後3か月で低下(384±109)(有意差なし)し,術後6か月で回復(417±125)した(有意差なし).しかし,女性では有意に術後MSPは低下した.4.括温の部位(前方,側法,後方),手術の個数(1個と2個)は術後の内圧の低下に関係なかった.
(結語)当院の括温は低い再発率と高い機能温存を併せ持つ手術法と判断された.
(基本事項)1.当院のIILに対し開放術の再発率は0.6%,括温は1.4%で有意差はなかった.2.前方,側法,後方のIILに対し開放術を行った1年経過後の肛門のトーヌスのアンケートは部位に関係なくトーヌスの低下が自覚された.以上より当院ではIILには部位に関係なく括温を標準術式としている.
(手術法)当院の括温は,二次口から外括約筋外縁までの二次瘻管を剥離・牽引することで一次口を同定し,肛門縁から皮膚切開し内括約筋内を剥離することで瘻管を確認・切離し,この際に形成された筋粘膜弁を内括約筋に縫合固定し原発口からの瘻管の連続性を遮断し終了する.
(目的・対象)2021年1月からの2年間に低位筋間痔瘻50名を対象に経時的な再発率,肛門内圧と肛門の機能障害のスコアー調査を術前と術後3ヶ月おきに(最長18ヶ月間)施行し追跡し,今回この手術法の肛門機能に与える影響を経時的に精査した.
(結果)1.再発症例0例,2.術後便もれ・ガスもれ等0例であった.3.括温症例(50例)における内圧変化は,MRP(mmHg)は術前平均136±24が,術後3か月で有意に低下し(107±27)(P<0.01),以後12か月後まで低下し,その後回復する傾向がみられた.MSPは術前平均419±117が,術後3か月で低下(384±109)(有意差なし)し,術後6か月で回復(417±125)した(有意差なし).しかし,女性では有意に術後MSPは低下した.4.括温の部位(前方,側法,後方),手術の個数(1個と2個)は術後の内圧の低下に関係なかった.
(結語)当院の括温は低い再発率と高い機能温存を併せ持つ手術法と判断された.