講演情報
[P1-1-6]直腸癌の縫合不全を0へ 当科の取り組みと臨床成績
水谷 久紀, 真崎 純一, 有働 竜太朗, 久保山 侑, 田子 友哉, 笠原 健大, 石崎 哲央, 永川 裕一 (東京医科大学消化器外科・小児外科)
直腸切除術における縫合不全は深刻な合併症である.縫合不全には年齢や既往歴などの患者因子もさることながら再建腸管のtentionや血流,機械的強度などの外科的な要因も寄与する.我々は たまたま直腸手術の吻合に3列circular staplerを導入してから,縫合不全率が7.4%から2.4%へしたため,機械的な要因による縫合不全に着目して,より安全・安心な吻合法開発に取り組んでいる.3列circular staplerが有用性であることは,in vitroの実験や傾向スコアによる臨床成績,さらに人工知能解析において示しめしする.さらに現在取り組んでいるのが,staplerの高さ選択にかかわる腸管の厚さと硬度の関係である.厚さはsurgicalな腸管壁の厚さとして術中EUSによって測定し,硬度に関しては術前Shear Wave Elastography(SWE)を用いて定量的な評価を行っている.これらに加えて,signia stapling systemに搭載された腸管の圧抵抗性を4段階にて評価するreal time feedback(RTF)を組み合わせて,最適なstaplerと高さを選択している.直腸がん手術において,縫合不全率を0に近づけるためには容易ではなく,我々のような細部にこだわった定量的・科学的な評価・取り組みが安全・安心な吻合には重要と考えている.