講演情報

[R20-2]肛門管疣状癌の2例

豊永 敬之1,4, 古賀 聡2, 梶谷 竜路1, 増井 友恵1, 濱畑 圭佑1, 壬生 隆一1, 恒吉 正澄3 (1.福岡山王病院外科, 2.飯塚病院外科, 3.福岡山王病院病理診断科, 4.豊永医院)
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疣状癌は高分化低悪性度の有棘細胞癌の一型で肛門部発生はまれである.
症例1は69歳男性で主訴は肛門痛であった.肛門外側9時に潰瘍を伴うカリフラワー状の硬い腫瘤病変を認めた.外来生検では異型細胞は認めなかったが,痛みが激しく増強したため治療および確定診断目的にて腰椎麻酔下に腫瘤切除を行った.摘出標本の病理検査で疣状癌と診断された.
症例2は59歳男性で主訴は肛門腫瘤であった.肛門外側9時にカリフラワー状の柔らかく湿った腫瘤病変を認め,9時原発の低位筋間痔瘻と連続していた.外来生検はコンジローマであった.治療および確定診断目的にて腰椎麻酔下に腫瘤切除および痔瘻根治術を行った.摘出標本の病理検査で疣状癌と診断された.
肛門部疣状癌はBuschke-Löwenstein tumorと同一疾患とされていたが,近年HPV感染を伴わない症例も報告され,議論の対象となっている.また本疾患は生検病理では過小診断も多く,注意深い診察と適切な治療が求められた.