講演情報
[R17-1]90歳以上の直腸脱患者に対する腹腔鏡手術と経会陰手術の成績
角田 明良1,2, 松田 諭2, 草薙 洋1 (1.亀田総合病院消化器外科, 2.亀田総合病院小児外科)
目的:超高齢者の直腸脱に対する腹腔鏡手術と経会陰手術の成績を検証する.方法:2009年9月から2023年8月までに直腸脱の診断で手術を行った285例のうち,90歳以上の患者を抽出し,安全性と効果を調査した.術後経過観察は3,6,12か月に行い以後は毎年行った.データは中央値(範囲)で示す.結果:全手術症例は285例で,うち90歳以上の患者は34例(12%)であった.術式の内訳は腹腔鏡下腹側固定術(LVR)22例,Delorme手術12例であった.年齢,性比,ASA分類,BMIは両群間に有意の差は無かった.手術時間はLVR群146分(99-309),Delorme群97分(67-158)とLVR群で有意に長かったが,出血量はLVR群5ml(2-30),Delorme群50ml(10-220)とLVR群で有意に少なかった.術後入院期間はLVR群1日(1-3),Delorme群2.5日(1-13)とLVR群で有意に短かった.術後合併症はLVR群に認められなかったが,Delorme群で術後早期のせん妄1例と術後6か月に発症した孤立性直腸潰瘍症候群による出血1例があった.術後観察期間はLVR群23か月(1-65),Delorme群34か月(1-96)で,再発はLVR群では認められなかったが,Delorme群で1例に認められた.結論:90歳以上の直腸脱患者に対する腹腔鏡下腹側固定術は安全に施行でき有効な術式であった.