講演情報

[O12-1]Early-onset大腸癌根治切除症例の長期成績

堀野 大智, 宮本 裕士, 前田 裕斗, 大内 繭子, 小川 克大, 日吉 幸晴, 馬場 秀夫 (熊本大学大学院消化器外科学)
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【背景】
 診断時年齢が50歳以下のEarly-onset大腸癌(EOCRC)は,欧米で増加していることが報告されている.しかし本邦におけるまとまった数の手術症例の報告は少なく,その長期成績は明らかになっていない.
 【対象と方法】
 2005~2017年に根治切除を施行したStage I-III EOCRCの57症例(EO群)を対象とした.臨床病理学的因子との関連を同時期に手術を施行した51歳以上の644症例(Late-onset(LO)群)との間で比較した.更に,Propensity score matching(PSM)で背景を均一化した上で予後を比較した.
 【結果】
 EOCRCは全体の8%に認めた.EO群の患者背景は年齢 43歳(19-50),年代 10代/20代/30代/40代以上:1/2/15/39 例,男性/女性:24/33 例,BMI:23.2(16.8-37.3),ASA-PS 1/2/3:34/20/3例,右側/左側:11/46 例で,8例に重複癌を認めた(卵巣癌 2例,子宮体癌 2例,子宮頸癌 1例,その他 3例).アムステルダム基準IIを満たす症例は3例(5%),ベセスダガイドラインを満たす症例は50例(88%)で,該当項目数 1/2/3/4/5:42/6/1/1/0であった.潰瘍性大腸炎を1例に認めた.病理学的因子として,主組織型 tub1/tub2/muc:34/17/6例,pStage 0/I/II/III:2/24/19/12例で,RAS変異を2例に認めた.MSI検査が施行された11例は,MSI-High/Low/MSS:2/1/8例であった.3例に術前化学療法,18例に術後化学療法が施行された.LO群と比較して,EO群は女性(P=0.02),PS1以下(P<0.01),左側原発(P=0.02)と有意に関連していた.EO群の4例に再発(傍大動脈リンパ節2例,肺 2例)を認めた.長期成績は,EO群とLO群でそれぞれ,5年全生存率(OS):95.9% vs. 81.1%(log rank P<0.01),5年無再発生存率(RFS):85.5% vs. 73.2%(P=0.02)と,EO群で有意に良好な結果であった.PSMにより再構成された群間(EO群 40例,LO群 40例)では,5年OS:94.3% vs. 94.9%(P=0.68),5年RFS:89.3% vs. 80.9%(P=0.28)と両群間に差を認めなかった.
 【結論】
Stage I-III EOCRC症例はLate-onset CRC症例と同様に,根治切除により良好な予後が期待できる.