講演情報
[SR4-1]直腸癌に対するロボット支援手術の短期・長期成績の検討―ロボット支援手術 vs 腹腔鏡下手術―
山梨 高広1, 三浦 啓壽1, 古城 憲1, 小嶌 慶太1, 横田 和子1, 横井 圭悟1, 田中 俊道1, 佐藤 武郎2, 内藤 剛1 (1.北里大学医学部下部消化管外科学, 2.北里大学医学部附属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門)
【背景】ロボット支援手術(Robotic surgery:RS)は,3Dカメラと多機能鉗子により,安定した視野確保と精緻な手技を可能とし,同手技による治療成績のさらなる向上が期待される.一方で直腸癌に対するRSの長期成績の報告はいまだ少ないのが現状である.
【目的】直腸癌に対するRSと腹腔鏡下手術(Laparoscopic surgery:LS)の短期・長期成績を比較し,RSの安全性・有用性を明らかにする.
【症例と方法】対象は2016年11月~2021年5月にRS,LSが施行された,Stage IVを除く直腸癌症例244例(RS 90例 vs LS 154例)で,短期・長期成績を後方視的に比較検討した.
【RS手術手技】da Vinci Xiを使用し,5-6 portを留置する.術前化学放射線治療等,浮腫性変化に伴う多量の浸出液やミストが生じる症例では,左下腹部ポートからチューブを骨盤底に留置,常時吸引し,正確な剥離層の同定に努める.肛門側切離はgreen or black 45 mm 2回の計画的切離を行い,ロボット支援下に吻合を行う.
【結果】背景因子において,性別(RS vs LS;男性71.1% vs 57.8%;p=0.0379),腫瘍占居部位(RS vs LS;Rb 63.3% vs 37.0%;p=0.0002),肛門縁からの距離(RS vs LS;64.2 mm vs 90.0 mm;p<0.0001)の3因子に両群間で有意差を認めた.RSはLSと比較し,手術時間の延長(351分 vs 248分,p<0.0001),開腹移行率の低下(0.0% vs 3.3%,p=0.0308),食事開始期間の短縮(1日 vs 2日,p<0.0001),Clavien-Dindo分類II以上の合併症発生率の低下(16.7% vs 29.2%,p=0.0280)を認めた.合併症の内訳は,縫合不全(12.0% vs 14.8%,p=0.5706),排尿障害(1.1% vs 9.7%,p=0.0086)であった.出血量(68 ml vs 107 ml,p=0.2122),術後入院日数(10日 vs 11日,p=0.3292),リンパ節郭清個数(16.4 vs 14.7,p=0.1779)に有意差はなかった.観察期間の中央値はRS 50か月(16-83),LS 58か月(14-83)であった.5年局所再発率はRS 2.5%,LS 5.6%(p=0.2677),5年無再発生存率はRS 85.1%,LS 76.7%(p=0.1309),5年全生存率はRS 94.6%,LS 89.8%(p=0.3638)であり,両群間で長期成績に有意差は認めなかった.
【結語】直腸癌に対するRSの短期・長期成績は良好であり,安全性・有用性が確認された.
【目的】直腸癌に対するRSと腹腔鏡下手術(Laparoscopic surgery:LS)の短期・長期成績を比較し,RSの安全性・有用性を明らかにする.
【症例と方法】対象は2016年11月~2021年5月にRS,LSが施行された,Stage IVを除く直腸癌症例244例(RS 90例 vs LS 154例)で,短期・長期成績を後方視的に比較検討した.
【RS手術手技】da Vinci Xiを使用し,5-6 portを留置する.術前化学放射線治療等,浮腫性変化に伴う多量の浸出液やミストが生じる症例では,左下腹部ポートからチューブを骨盤底に留置,常時吸引し,正確な剥離層の同定に努める.肛門側切離はgreen or black 45 mm 2回の計画的切離を行い,ロボット支援下に吻合を行う.
【結果】背景因子において,性別(RS vs LS;男性71.1% vs 57.8%;p=0.0379),腫瘍占居部位(RS vs LS;Rb 63.3% vs 37.0%;p=0.0002),肛門縁からの距離(RS vs LS;64.2 mm vs 90.0 mm;p<0.0001)の3因子に両群間で有意差を認めた.RSはLSと比較し,手術時間の延長(351分 vs 248分,p<0.0001),開腹移行率の低下(0.0% vs 3.3%,p=0.0308),食事開始期間の短縮(1日 vs 2日,p<0.0001),Clavien-Dindo分類II以上の合併症発生率の低下(16.7% vs 29.2%,p=0.0280)を認めた.合併症の内訳は,縫合不全(12.0% vs 14.8%,p=0.5706),排尿障害(1.1% vs 9.7%,p=0.0086)であった.出血量(68 ml vs 107 ml,p=0.2122),術後入院日数(10日 vs 11日,p=0.3292),リンパ節郭清個数(16.4 vs 14.7,p=0.1779)に有意差はなかった.観察期間の中央値はRS 50か月(16-83),LS 58か月(14-83)であった.5年局所再発率はRS 2.5%,LS 5.6%(p=0.2677),5年無再発生存率はRS 85.1%,LS 76.7%(p=0.1309),5年全生存率はRS 94.6%,LS 89.8%(p=0.3638)であり,両群間で長期成績に有意差は認めなかった.
【結語】直腸癌に対するRSの短期・長期成績は良好であり,安全性・有用性が確認された.