講演情報
[R10-1]ストーマ保有者の主観的ウェルビーイングを改善するデザインストーマパウチの開発
佐藤 純人1, 大杉 純子1, 太田川 沙織1, 平澤 真弓2, 関 宣明2, 塩澤 学2, 湯座 美幸3, 山井 美樹3, 高橋 恵理子4, 藤森 晶子5, 西井 正造5, 沼田 努6, 佐藤 亮介7, 松下 直樹8, 青木 議宏8, ヴィヴィアン フェイ8, 岡田 晴樹9, 今野 拓9, 浜野 孝1, 小林 靖幸1 (1.聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院大腸肛門科, 2.神奈川県立がんセンター消化器外科(大腸), 3.横浜旭中央総合病院看護部, 4.早稲田大学人間科学学術院, 5.横浜市立大学先端医科学研究センターコミュニケーションデザインセンター, 6.東京デザインプレックス研究所, 7.佐藤内科医院, 8.コロプラスト株式会社, 9.TOPPAN株式会社)
【背景】本邦におけるストーマ袋の約80%は内容物が認識できる透明なものと言われている.透明なストーマ袋は,ストーマの状態をすぐに確認できる利点がある一方で,ストーマ保有者は袋越しに排泄物を見ながら生活している現状がある.主観的ウェルビーイングは,幸福感や満足度など主観的な心の豊かさを表す新しい概念で,その評価や改善の手法はこれからの課題となっている.今回われわれは,現在市販されている不透明なストーマパウチに加え,透明なストーマ袋にデザインを付加したデザインストーマ袋を開発し,ストーマ保有者の主観的側面の改善にどのように貢献できるか検討した.
【対象】2022年9月から2024年3月に透明なストーマ袋を使用するストーマ保有者49名を対象とした.デザインストーマ袋群(デザイン群)34名と透明部を被覆した不透明ストーマ袋群(不透明群)15名に分け,透明なストーマ袋を使用後,それぞれの袋を10日前後使用し主観的ウェルビーイングの変化をThe Positive and Negative Affect Schedule(PANAS)を用いて6件法で評価した.また,ストーマ保有者のQOLは,the Stoma Quality of life questionnaire(Stoma-QoL)20項目版を用いて80点満点で測定した.
【結果】男性24名,女性25名,年齢中央値は59歳(IQR:52-69).Stoma-QOLの中央値は80点満点で54点だった.ストーマ袋の群間で有意差はなかったが,Spearman相関分析で年齢との相関が認められた(r=0.389 p<0.01).PANASはネガティブ情動とポジティブ情動に分けて分析した.ネガティブ情動はデザイン群で-9.41±10.0,不透明群で-5.87±8.43,ポジティブ情動はデザイン群で+12.2±11.8,不透明群で+8.47±6.96,と共に改善を認めた.デザイン群で改善傾向が高かった.60歳未満の保有者,女性ではポジティブ情動は有意差をもって改善を認めた.
【結語】デザイン群,不透明群ともストーマ保有者の主観的ウェルビーイングを改善した.デザインを付加したストーマ袋は,透明部分を被覆した不透明な袋と比較して更なる改善を認めた.ストーマ袋の内部を見えにくくし,デザインで受容性を向上することで,心の豊かさである主観的ウェルビーイングを改善することができた.
【対象】2022年9月から2024年3月に透明なストーマ袋を使用するストーマ保有者49名を対象とした.デザインストーマ袋群(デザイン群)34名と透明部を被覆した不透明ストーマ袋群(不透明群)15名に分け,透明なストーマ袋を使用後,それぞれの袋を10日前後使用し主観的ウェルビーイングの変化をThe Positive and Negative Affect Schedule(PANAS)を用いて6件法で評価した.また,ストーマ保有者のQOLは,the Stoma Quality of life questionnaire(Stoma-QoL)20項目版を用いて80点満点で測定した.
【結果】男性24名,女性25名,年齢中央値は59歳(IQR:52-69).Stoma-QOLの中央値は80点満点で54点だった.ストーマ袋の群間で有意差はなかったが,Spearman相関分析で年齢との相関が認められた(r=0.389 p<0.01).PANASはネガティブ情動とポジティブ情動に分けて分析した.ネガティブ情動はデザイン群で-9.41±10.0,不透明群で-5.87±8.43,ポジティブ情動はデザイン群で+12.2±11.8,不透明群で+8.47±6.96,と共に改善を認めた.デザイン群で改善傾向が高かった.60歳未満の保有者,女性ではポジティブ情動は有意差をもって改善を認めた.
【結語】デザイン群,不透明群ともストーマ保有者の主観的ウェルビーイングを改善した.デザインを付加したストーマ袋は,透明部分を被覆した不透明な袋と比較して更なる改善を認めた.ストーマ袋の内部を見えにくくし,デザインで受容性を向上することで,心の豊かさである主観的ウェルビーイングを改善することができた.