講演情報
[PD9-1]潰瘍性大腸炎に対するフィルゴチニブの有効性,安全性の検討―単施設25症例の治療成績より―
鳥羽 崇仁, 辛島 遼, 北條 紋, 藤本 愛, 松田 尚久 (東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
【背景・目的】 フィルゴチニブはJAK-1選択的阻害薬であり,本邦では2022年3月に中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)の治療に保険承認された.その有用性は国際共同第2b/3相試験で確認されているが,実臨床における本剤の有効性,安全性,適格患者については未だ明らかではなく,その解明を本研究の目的とした.
【方法】 2022年5月から2023年12月までに当院でUCに対してフィルゴチニブ200mgを投与した症例の患者背景,臨床経過,検査データを遡及的に検討した.
【結果】 対象25例(M/F:16/9)の観察期間中央値は232日(IQR:102-405),年齢中央値は43歳(IQR:29-55),罹病期間は9年(IQR:2-12)であった.36%(9/25)は生物学的製剤または低分子化合物未使用で,多剤無効が52%(13/25),ステロイド依存性が32%(8/25),ステロイド抵抗性が36%(9/25)含まれていた.投与開始時のpMayoスコアの中央値は4.5(IQR:3-6)であった.pMayoスコアは投与開始2週後から有意に改善し(p<0.05),臨床的寛解率(pMayoスコア≦1)はintention-to-treat解析において2週後:28%(7/25),8週後:48%(12/25),24週:52%(13/25)であった.フィルゴチニブ治療の継続率は68%(17/25)であり,治療を継続した患者は,中止した患者よりも開始時のpMayoスコアが有意に低かった(p=0.03).有害事象は16%(4/25)で認められたが,いずれも軽症から中等症であり,有害事象を理由に治療を中止した症例はなかった.
【結論】 フィルゴチニブはUC患者に対して有効かつ安全な薬剤であると思われる.特に,治療開始時のpMayoスコアがそれほど高くない患者において,有効性および治療継続性が高かった.
【方法】 2022年5月から2023年12月までに当院でUCに対してフィルゴチニブ200mgを投与した症例の患者背景,臨床経過,検査データを遡及的に検討した.
【結果】 対象25例(M/F:16/9)の観察期間中央値は232日(IQR:102-405),年齢中央値は43歳(IQR:29-55),罹病期間は9年(IQR:2-12)であった.36%(9/25)は生物学的製剤または低分子化合物未使用で,多剤無効が52%(13/25),ステロイド依存性が32%(8/25),ステロイド抵抗性が36%(9/25)含まれていた.投与開始時のpMayoスコアの中央値は4.5(IQR:3-6)であった.pMayoスコアは投与開始2週後から有意に改善し(p<0.05),臨床的寛解率(pMayoスコア≦1)はintention-to-treat解析において2週後:28%(7/25),8週後:48%(12/25),24週:52%(13/25)であった.フィルゴチニブ治療の継続率は68%(17/25)であり,治療を継続した患者は,中止した患者よりも開始時のpMayoスコアが有意に低かった(p=0.03).有害事象は16%(4/25)で認められたが,いずれも軽症から中等症であり,有害事象を理由に治療を中止した症例はなかった.
【結論】 フィルゴチニブはUC患者に対して有効かつ安全な薬剤であると思われる.特に,治療開始時のpMayoスコアがそれほど高くない患者において,有効性および治療継続性が高かった.