講演情報
[VPD2-8]傍ストーマヘルニア,ストマ脱出に対するVASCS(Video Assisted SubCutaneous Surgery)による修復術
竹下 浩明1, 中村 裕紀子2, 福田 明子1, 又野 護1, 福井 彩恵子1, 𠮷野 恭平1, 森田 道1, 釘山 統太1, 米田 晃1, 北里 周1, 南 恵樹1, 黒木 保1 (1.国立病院機構長崎医療センター外科, 2.国立病院機構長崎医療センター看護部)
【はじめに】傍ストーマヘルニア(PSH)・ストーマ脱(prolapse)は筋膜の間隙の拡大や固定の不良で生じる頻度の高い合併症であるが,重篤になることは少なく保存的治療を受けていることも多い.様々な修復法があるが,我々は,皮膚の孤状切開を行い,筋膜を剥離して筋膜を直接縫縮しonlay meshを用いて補強をすることが多かった.皮膚,皮下組織の切開が多く,皮膚の血流障害や創感染症のリスクが問題であった.皮膚を小切開し皮下に腹腔鏡用カメラを挿入し皮下を剥離して修復を行うVASCSによる修復を実施した.【対象】2016年4月~2024年3月までに手術を行ったストーマ合併症は15例.PSH 5例,prolapse 4例,PSH+prolapse 3例,ストーマ壊死 1例,ストーマ静脈瘤 1例,ストーマ狭窄 1例.皮膚の孤状切開+筋膜縫縮+onlay mesh(直視下群)は3例,VASCSによる筋膜縫縮+onlay mesh(VASCS群)は4例に施行した.【方法】直視下群とVASCS群の手術時間,出血量,術後在院日数,合併症,再発の有無について検討した.【結果】直視下群とVASCS群の手術時間平均値は152分と256分,出血量は23gと1g,術後在院日数は7日と5日だった.合併症は直視下群でストーマ壊死1例みられた.術後再発は直視下群でprolapseが1例みられた.VASCS群では合併症,再発ともにみられなかった.【考察】PSH,prolapseに対する外科的治療では,メッシュを用いた手術は再発率が低くなる.Sugarbaker法は腹腔内にメッシュを置くため腸管合併症が懸念されるが,近年,腹膜外にメッシュを用いる方法として,eTEP法,TAR法,Pauli法などの新しい術式が考案されている.我々は以前から行っている筋膜縫縮+onlay mesh法を鏡視下(VASCS)に行うことでより低侵襲な手術を目指した.SCOLA法とほぼ同意義であるが,VASCSと名付けた本法は,従来の皮膚孤状切開法に比べて,手術時間が長いが,在院日数は短く,合併症がなかった.高度な技術が必要であるが拡大視効果と良好な視野が得られ,皮膚切開が小さくより低侵襲かつ安全な修復法と考える.