講演情報

[P20-1-8]ストーマ脱に対してグラニュー糖の散布により用手還納が可能となった一例

村山 良太, 石井 晶子, 伊波 悠吾, 田嶋 健秀, 本田 晋策, 厚井 志郎, 豊福 篤志, 北原 光太郎, 日暮 愛一郎, 永田 直幹 (北九州総合病院外科)
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【はじめに】ストーマ脱では腸管の浮腫があり,特に脱出腸管が長い場合には還納が困難な場合がある.還納できなければ出血や嵌頓壊死のリスクがあり,外科的手術が必要になることもある.今回我々は用手還納できなかったストーマ脱の症例に対し,脱出腸管にグラニュー糖を散布することで用手還納が可能となった症例を経験したので動画を含めて報告する.
【症例】79歳,女性.盲腸癌,多発肝転移,回腸ストーマの既往があり他院で化学療法を受けていた.1日前からのストーマの脱出を主訴に当院の救急外来へ紹介受診した.ストーマの口側が約15cm脱出しており,腸管の浮腫を認めるものの明らかな腸管壊死の所見は見られなかった.用手還納を試みたが浮腫にくわえ脱出腸管が長かったため困難だった.そこで脱出腸管にグラニュー糖(スティックシュガー)を約10g散布したところ約10分で6cm程度にまで自然還納し用手還納が可能となった.糖尿病の併存疾患があったため1時間後に血糖を測定し異常高値でないことを確認した.その後は原疾患のため経過観察としたが,亡くなるまでの3か月間にストーマ脱の再発は認めなかった.
【考察】ストーマ脱ではまずは愛護的な用手還納を試みるべきである.しかし用手還納できない場合には,グラニュー糖の散布によって浮腫が改善し用手還納が可能となることがあるため試みるべき処置のひとつと考える.ただし糖尿病などの併存疾患の場合の問題や糖の投与方法や投与量などについては報告により様々で,症例の蓄積が望まれる.