講演情報

[P16-2-7]肛門科におけるIBDスクリーニング検査としての便中カルプロテクチン使用経験

櫻井 健太郎, 櫻井 潤司 (月岡クリニック)
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【背景と目的】炎症性腸疾患と肛門病は密な関係が報告されており,特にクローン病に関してはその約8割に肛門病変が合併するとされている.当院は肛門科クリニックであり,痔瘻や皮垂などを主訴に受診された症例に関して,その形態などからクローン病を疑い,精査にてクローン病の肛門病変であったという症例が散見される.
 便中カルプロテクチン検査は腸管粘膜の炎症反応を示すバイオマーカーで,炎症性腸疾患の内視鏡検査前の診断補助として本邦においては2021年12月より保険適用となっている.当院においても炎症性腸疾患を疑う症例に対し便中カルプロテクチン検査を導入しており,その使用経験を検討した.
 【方法】2022年1月から2023年3月の期間において当院にて便中カルプロテクチン検査を施行した.53症例に関して後ろ向きに検討した.
 【結果】炎症性腸疾患の可能性を考慮し,便中カルプロテクチンを検査した症例は53例であり,男性40人,女性13人であった.年齢は13から59歳であり,年齢の中央値は31歳であった.また,検査時の症状としては肛門症状が38例,下痢・腹痛症状が24例,排便時出血が15例に認められた(重複あり).
 便中カルプロテクチン検査を施行した全53症例のうち結果がカットオフ値である50mg/kg以上の症例は22症例であり,その後の精査の結果,そのうち12例に炎症性腸疾患を認めた.
 【考察】便中カルプロテクチン検査は比較的簡便な検査であり,患者の負担を考慮すると大変有用であると考えられた.