講演情報
[SR6-5]術前systemic immune-inflammation index(SII)低値はステント挿入後根治術をうけた閉塞性大腸直腸癌において,無再発生存期間の独立予後不良因子となる
佐藤 龍一郎1,2, 及川 昌也2, 柿田 徹也2, 阿部 友哉2, 赤澤 直也2, 土屋 誉2 (1.宮城県立がんセンター外科, 2.仙台オープン病院)
目的 癌の進行には,癌の特性のみならず,患者の免疫栄養状態が関与することが明らかとなってきた.systemic immune-inflammation index(SII)は血小板数,リンパ球数,好中球数から算出され,大腸直腸癌においてSII高値が予後不良因子であることが報告されている.閉塞性大腸直腸癌症例において,SIIの長期予後に与える影響を検討した.
方法 2013年から2020年にステント挿入後に根治的手術を受けた遠隔転移を伴わない閉塞性大腸直腸癌86症例を対象として検討した.
結果 男性50例,女性36例,年齢中央値は71歳.観察期間中央値は35か月.右側23例,左側63例.ステント留置期間は5~47日(中央値17日).術前SII<597群はリンパ節転移(P=0.034),長いステント留置期間(23.5日 vs 15.5日,P=0.005)と有意に相関し,無再発生存期間は有意に短かった(P<0.001).多変量解析により,SII<597群は無再発生存期間の独立した予後不良因子であった(HR=5.62,P<0.001).
SIIと予後の関係は過去の報告と逆であったため,血小板,リンパ球数,好中球に分けて検討を追加した.術前血小板数<240は無再発生存期間が有意に短かったが(P=0.002),リンパ球数,好中球数と予後は相関しなかった.
結論 SII低値は閉塞性大腸直腸癌における無再発生存期間の有意な予後不良因子であり,過去の報告とは逆の関係であった.血小板由来マイクロパーティクルが腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するとする報告がある.閉塞状態での腫瘍微小環境下での血小板と腫瘍細胞との相互作用が逆相関に関与している可能性が考えられた.
方法 2013年から2020年にステント挿入後に根治的手術を受けた遠隔転移を伴わない閉塞性大腸直腸癌86症例を対象として検討した.
結果 男性50例,女性36例,年齢中央値は71歳.観察期間中央値は35か月.右側23例,左側63例.ステント留置期間は5~47日(中央値17日).術前SII<597群はリンパ節転移(P=0.034),長いステント留置期間(23.5日 vs 15.5日,P=0.005)と有意に相関し,無再発生存期間は有意に短かった(P<0.001).多変量解析により,SII<597群は無再発生存期間の独立した予後不良因子であった(HR=5.62,P<0.001).
SIIと予後の関係は過去の報告と逆であったため,血小板,リンパ球数,好中球に分けて検討を追加した.術前血小板数<240は無再発生存期間が有意に短かったが(P=0.002),リンパ球数,好中球数と予後は相関しなかった.
結論 SII低値は閉塞性大腸直腸癌における無再発生存期間の有意な予後不良因子であり,過去の報告とは逆の関係であった.血小板由来マイクロパーティクルが腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するとする報告がある.閉塞状態での腫瘍微小環境下での血小板と腫瘍細胞との相互作用が逆相関に関与している可能性が考えられた.