講演情報
[O24-4]深部痔瘻に対する当院の工夫(2段階離断法について)
谷村 修, 荒木 靖三, 別府 理智子, 平瀬 りさこ (福西会病院)
深部痔瘻とは一般に坐骨直腸窩痔瘻,骨盤直腸窩痔瘻を指すが,治療にあたりさまざまな術式が考案工夫されてきた.基本的な考え方の原則は,ドレナージルートの作成,原発巣(後方深部隙)の処置,1次口から原発巣までのルートの遮断である.
2019年5月より2024年2月まで当院にて行った痔瘻根治術は,Total365例であるが深部痔瘻の症例は103例であった.(坐骨直腸窩痔瘻:95症例,骨盤直腸窩痔瘻:8症例,再発症例における再根治術症例を含む)
当初は深部痔瘻に対してHanley変法やSeton術,宮田-家田式温存術など施行していたが,再発症例が6/37例(16.2%)と満足いくものではなかった.そのため2020年11月より内肛門括約筋内にて1次瘻管を結紮離断する術式(1次瘻管結紮離断術)に変更したところ,再発症例は4/43例(9.3%)となり改善を認めた.さらに深部痔瘻の肛門陰窩は深く線維化が強い症例が多いことより,1次瘻管結紮離断術に陰窩の離断を加える操作を加えたところ再発症例は1/23例(4.3%)と改善した.我々はこの術式を有効な術式と考え,2段階離断法(Two-step technique)と呼称している.またII型痔瘻に対しても現在この2段階離断法を全例に対して行っているが再発は極めて少ない.創傷治癒遷延が懸念されるような全身状態不良例や,クローン病,肛門狭窄を来した症例,内肛門括約筋が著明に線維化した症例は,現在除外している.再発した1症例は過去複数回手術歴のある症例であった.
血流豊富な内肛門括約筋内で1次瘻管を結紮離断し,汚染物質の流入する一次口を遮断するこの方法は感染に強く創離解などの合併症も認めていない.2段階離断法を行った症例に対して肛門内圧検査,WEXNER分類による評価を術前,術後3か月に施行した.術後3か月の肛門管最大静止圧は術前の値と比較して低下したが,soiling等の日常生活の支障となるような事例は認めていない.
これからさらなる長期成績の検討が必要であるが,術後重篤な機能障害もなく根治性も得られており,この方法は深部痔瘻に対して有効な手技のひとつであると考えている.その手技を動画を用いて供覧するとともに,その治療成績を紹介する.
2019年5月より2024年2月まで当院にて行った痔瘻根治術は,Total365例であるが深部痔瘻の症例は103例であった.(坐骨直腸窩痔瘻:95症例,骨盤直腸窩痔瘻:8症例,再発症例における再根治術症例を含む)
当初は深部痔瘻に対してHanley変法やSeton術,宮田-家田式温存術など施行していたが,再発症例が6/37例(16.2%)と満足いくものではなかった.そのため2020年11月より内肛門括約筋内にて1次瘻管を結紮離断する術式(1次瘻管結紮離断術)に変更したところ,再発症例は4/43例(9.3%)となり改善を認めた.さらに深部痔瘻の肛門陰窩は深く線維化が強い症例が多いことより,1次瘻管結紮離断術に陰窩の離断を加える操作を加えたところ再発症例は1/23例(4.3%)と改善した.我々はこの術式を有効な術式と考え,2段階離断法(Two-step technique)と呼称している.またII型痔瘻に対しても現在この2段階離断法を全例に対して行っているが再発は極めて少ない.創傷治癒遷延が懸念されるような全身状態不良例や,クローン病,肛門狭窄を来した症例,内肛門括約筋が著明に線維化した症例は,現在除外している.再発した1症例は過去複数回手術歴のある症例であった.
血流豊富な内肛門括約筋内で1次瘻管を結紮離断し,汚染物質の流入する一次口を遮断するこの方法は感染に強く創離解などの合併症も認めていない.2段階離断法を行った症例に対して肛門内圧検査,WEXNER分類による評価を術前,術後3か月に施行した.術後3か月の肛門管最大静止圧は術前の値と比較して低下したが,soiling等の日常生活の支障となるような事例は認めていない.
これからさらなる長期成績の検討が必要であるが,術後重篤な機能障害もなく根治性も得られており,この方法は深部痔瘻に対して有効な手技のひとつであると考えている.その手技を動画を用いて供覧するとともに,その治療成績を紹介する.