講演情報

[O4-2]SDJ部結腸癌に対するロボット支援下手術時のポート配置の工夫

田中 征洋, 鈴村 潔, 土屋 智敬, 西前 香寿, 中村 勇人, 川上 次郎, 張 丹, 寺崎 正起, 岡本 好史 (静岡済生会総合病院外科)
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【はじめに】SDJ部結腸癌に対する授動範囲は脾弯曲部から直腸まで広範囲に及ぶため,ロボット支援下手術時のポート配置やドッキング回数は施設により方針が様々で,定型化された手順は確立されていない.【目的】当院におけるダビンチXiでのシングルドッキングによるポート配置を示し,その利点を述べるとともに手術手技を供覧する.【ポート配置】臍の切開を頭側方向へ延長して小開腹を先行し,リトラクターを装着後,創の最も頭側に2番ポートを留置する.次いで,右上前腸骨棘を通る水平線上で右下腹壁動静脈の外側に4番ポートを留置する.2,4番ポートを通る直線上で2,4番ポートの中点に3番ポートを,左上腹部に1番ポートを留置する.このポート配置は通常の直腸癌手術時のポート配置と比べて頭側かつ反時計回りの直線上にポートを配列することになるので,脾弯曲授動時のアーム間の干渉を避けることが可能となり,かつ直腸操作時への影響は少ないポート配置となる.さらに,ポートとアームをドッキング後,アームのpatient clearanceを可及的に下げておくことでインストゥルメントのバックピッチの到達範囲を最大化しておく.【手術手技】岬角近傍より内側アプローチで間膜授動を開始し,IMA根部を露出後に切離する.下行結腸間膜を授動しながら頭側で膵を同定しておく.下行結腸を外側から授動して内外の剥離層を連続させ,脾弯曲に向かって授動を進める.横行結腸と大網間を剥離して網嚢を開放し,脾弯曲に向かって網嚢の開放を進め,全ての剥離層を脾弯曲部で連続させて脾弯曲授動を完了する.直腸を授動後,直腸間膜を処理して直腸壁を全周性に露出し,直腸を切離する.この間,アーム間の干渉やインストゥルメントの可動域制限はほとんど起こらない.【結語】このポート配置はシングルドッキングで手術を完遂できることやアーム間の干渉が少ないことが利点で,広範な操作を要するSDJ部結腸癌に対して円滑に手術を遂行することができる.