講演情報

[O19-5]当院の横行結腸癌に対する手術手技

野村 雅俊, 鄭 充善, 辻村 直人, 西田 謙太郎, 森 総一郎, 吉川 幸宏, 玉井 皓己, 浜川 卓也, 瀧内 大輔, 辻江 正徳, 赤丸 祐介 (大阪労災病院外科)
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【はじめに】当院における横行結腸癌に対する術式選択として両弯曲部癌や間膜起始部にBulkyなリンパ節を認める高度局所進行癌の場合以外は横行結腸部分切除術の適応としている.
【手術手技】右側寄りの横行結腸癌の場合はまず肝弯曲の授動を先行する.内側アプローチ→後腹膜アプローチの順に右側結腸を授動.続いて局在を確認し術式を決定した後に郭清に移行する.SMA左縁を郭清左縁とし頭側へと郭清し,郭清のラインを決める.右側結腸を左側へ脱転して腸間膜を右側から左側,尾側から頭側に向かって膵前筋膜を背側に温存する層で郭清する.右側結腸を元の位置に戻して再度SMV上の郭清を右側・尾側から頭側に向かって行い,GCTを確認できる高さまで郭清する.網嚢を開放し,再度右側結腸を左側に脱転し,右側・頭側から結腸間膜を胃間膜より剥離し,結腸間膜に入っているdrainage veinを右側から左側に向かって郭清しながら流入部で処理する.郭清の頭側縁となる膵下縁を視認しつつ,SMV・SMA前面の郭清を行い,最後にMCAの郭清を行う.
左側寄りの横行結腸癌の場合も同様に左側結腸の授動および網嚢開放後に左側結腸を右側に脱転した後にSMA前面・膵下縁を視認しつつ,左側から右側,尾側から頭側へと頭側縁に向かって郭清を進める.
【手術成績】2018年4月から2023年9月までの間に当院でR0切除を行った横行結腸癌腹腔鏡下手術86症例について検討を行った.年齢中央値 72.5歳(36-90),男/女 44/42例,組織型 tub1/tub2/その他 43/40/3例,局在 右側/中央/左側 23/42/21例,T1a/1b/2/3/4a/4b 3/18/11/33/18/3例,リンパ節転移 N-/+ 58/28例,ly -/+ 20/66例,v -/+ 32/54例,Stage 0/I/II/III 3/26/31/26例であった.D3/D0-2 69/17例,出血量中央値 5ml(0-400),手術時間中央値 218分(128-494),術後合併症は13例に認めた.開腹移行は2例に認め,理由は胃浸潤と癒着によるもので出血による開腹移行は認めなった.