講演情報
[O24-2]ホワイトヘッド肛門に対する守谷・松田式痔核結紮切除術変法
森 俊治1, 田中 香織1, 山田 英貴2 (1.森外科医院, 2.山田外科内科)
ホワイトヘッド手術は1882年にWalter Whitehead氏が発表した術式で痔核発生部位の直腸粘膜を肛門上皮を含めて全周性に切除し,口側の直腸粘膜と肛門周囲皮膚を縫合する方法である.しかしながら,手術の煩雑さに加えて術後の後遺症が多いことから施行されなくなり長い月日が経過している.当院がある地域でも1980年代までホワイトヘッド手術を施行していた医療機関があり,最近でも後遺症に悩む患者に遭遇することがある.ホワイトヘッド肛門は直腸粘膜皮膚縫合部が肛門縁から肛門管外にあり,直腸粘膜が露出しているため,主な症状としてベタつきや出血を主訴に来院する患者が多い.そのため,症状の改善にはこの縫合部をいかに肛門管内に引き込むかが症状改善に繋がる重要なポイントであると考えている.守谷・松田式LEは内痔核を結紮した縫合糸で肛門上皮を根部結紮した部位まで吊り上げて術後のスキンタグを予防することを特徴とする痔核結紮切除術の中のひとつの術式である.手間がかかり手術時間が長くなるため,広く施行されているとは言い難いが,有用性は非常に高いものがある.当院ではこの守谷・松田式LEの手技をホワイトヘッド肛門にも応用して,縫合部の皮膚を肛門管内に吊り上げて直腸粘膜脱を修復して症状の改善を図っている.2011年から2023年までに当院でホワイトヘッド肛門に対し手術を行ったのは19例で,そのうち10例で守谷・松田式LEが施行されていた.男女比は9:1,年齢は59~80歳,平均手術時間は49分,平均治癒日数は58.7日であった.全例全例で術後脱出していた直腸粘膜皮膚縫合部は肛門管内へ吊り上げられて,直腸粘膜脱による症状の改善がみられた.守谷・松田式LEはホワイトヘッド肛門の症状改善に有用な術式であると考えられた.