講演情報
[R18-4]当院にてcytoreductive surgeryを施行した腹膜偽粘液腫144例の検討
今神 透1,2, 松永 隆志1, 大江 康光1, 寒川 玲1, 安 炳九1, 高尾 信行1, 戸川 剛1, 水本 明良1, 米村 豊2 (1.淡海医療センター, 2.NPO腹膜播種治療支援機構)
背景:腹膜偽粘液腫は腹腔内にゼリー状粘液が貯留する病態であり,50万人から100万人に1人が発症する稀な疾患である.腹膜偽粘液腫に対する手術としてはCytoreductive surgery(CRS)が海外では普及しており,当院でも積極的にCRSを施行してきた.今回我々は,当院にてCRSを施行した腹膜偽粘液腫について,検討を加えたため報告する.
方法:2019年7月から2023年3月までの期間において,当院にてCRSを施行した腹膜偽粘液腫の症例144例を対象とした.CRS後の再発症例に対する手術症例は今回の検討からは除外した.CRSは広範囲腹膜切除と各種臓器切除を組み合わせておこなった.腹腔内を13か所に細分し,各々の部位の播種の程度を0-3点に分け,そのスコアを総計したPeritoneal cancer index(PCI)を術中に算出して腹膜播種の程度を数量化した.手術時の腫瘍の遺残についてはcompleteness of cytoreduction(CC)scoreを用いて評価した(残存腫瘍が無い場合がCC-0,2.5mm未満の場合をCC-1,2.5mm以上2.5cm以下の場合をCC-2,2.5cmより多く遺残した場合をCC-3とした).
結果:年齢は中央値64(27-86)歳で,男性が56例で女性が88例であった.PCIは中央値23(0-38)点であった.CC-0が52例,CC-1が59例,CC-2が6例,CC-3が27例で,良好な予後が期待できるとされる肉眼的完全切除(CC-0またはCC-1)は111例(77.1%)に施行可能であった.腹膜偽粘液腫の組織型としてはlow gradeが82例と最も多く,high gradeは28例で,acellularが17例で,signet ring cellが14例であった(3例で診断不能).無再発生存期間(CTまたはMRIで再発と診断されるまでの期間)は中央値22か月であった.
結語:当院にてCRSを施行した腹膜偽粘液腫の症例について報告した.手術成績については今後の症例の蓄積と観察の継続が必要である.
方法:2019年7月から2023年3月までの期間において,当院にてCRSを施行した腹膜偽粘液腫の症例144例を対象とした.CRS後の再発症例に対する手術症例は今回の検討からは除外した.CRSは広範囲腹膜切除と各種臓器切除を組み合わせておこなった.腹腔内を13か所に細分し,各々の部位の播種の程度を0-3点に分け,そのスコアを総計したPeritoneal cancer index(PCI)を術中に算出して腹膜播種の程度を数量化した.手術時の腫瘍の遺残についてはcompleteness of cytoreduction(CC)scoreを用いて評価した(残存腫瘍が無い場合がCC-0,2.5mm未満の場合をCC-1,2.5mm以上2.5cm以下の場合をCC-2,2.5cmより多く遺残した場合をCC-3とした).
結果:年齢は中央値64(27-86)歳で,男性が56例で女性が88例であった.PCIは中央値23(0-38)点であった.CC-0が52例,CC-1が59例,CC-2が6例,CC-3が27例で,良好な予後が期待できるとされる肉眼的完全切除(CC-0またはCC-1)は111例(77.1%)に施行可能であった.腹膜偽粘液腫の組織型としてはlow gradeが82例と最も多く,high gradeは28例で,acellularが17例で,signet ring cellが14例であった(3例で診断不能).無再発生存期間(CTまたはMRIで再発と診断されるまでの期間)は中央値22か月であった.
結語:当院にてCRSを施行した腹膜偽粘液腫の症例について報告した.手術成績については今後の症例の蓄積と観察の継続が必要である.