講演情報

[R19-4]難渋を極めたが,守谷―松田術式が本領を発揮した全周性痔核の一例

山本 達雄 (たつおクリニック)
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(序)
 守谷-松田術式は,故守谷孝夫先生のお言葉をかりれば,癌の廓清の如く痔核組織を取り除き,肛門上皮を可及的に残し,生まれたての赤ちゃんのようなお尻に戻すという美容整形的にも配慮した術式である.そして個人的には基本原理は有茎皮膚移植と考える.
(症例・考察)
 一般的には手術に困難を伴う全周性巨大痔核も多少の時間と労を厭わなければ守谷‐松田術式にて前記したようにきれいなお尻に仕上げる事が可能である.今回取り上げた症例はその全周性巨大痔核の一例で,手術は難渋を極めたが術翌日の腫脹も少なく満足できる仕上がりとなった.
手術を動画で供覧し,更に術前管理,術後管理にも言及し若干の考察を加えて報告したい.
(結語)
 ALTAなどの工夫により日帰り手術が盛んに行われている昨今,守谷ー松田術式は手技習得に時間がかかるうえ,手術自体も時間がかかり,入院は不可欠,などなど時代に逆行しているのではないかと私自身も思う事がある.
しかし,やはり肛門を扱う上でのエッセンスが溢れており,特にこのような全周性巨大痔核をきれいに仕上げるという目的では他の追随を許さない有用な術式と個人的には考える.